時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

観測史上最高の平均気温が示唆する環境特需問題

 AFPによりますと、国連の専門機関、世界気象機関は今月14日、2020年の世界の平均気温が16年と並び、観測史上最高となったと発表したそうです。地球温暖化が問題視されてから久しく、1997年に京都議定書が、そして、2015年には、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にて、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定(合意)、「パリ協定」が結ばれております。

 

 今月13日付本ブログにて「中国企業に投資し、日本の電力需要にあった電力供給に必要とされる太陽光パネル発展途上国として位置づけられている中国から大量に調達した場合、その莫大な生産量によって、二酸化炭素排出量は、さらに増大することが予測されます。加えて、粗悪品である可能性も指摘することができます(すぐに故障する)。仮に、二酸化炭素が温暖化の犯人でしたならば、2050年が来る前に、地球は深刻な事態に陥ってしまうことになるかもしれません。すなわち、2050年を期限としているがゆえの、クリーン・エネルギーへの膨大で、短期集中的な代替需要(特需)が、地球環境をさらに悪化させる可能性があるのです」と述べました。このことは、日本のみならず、世界各国にも、あてはまります。

 

 「パリ協定」は、各国の削減目標の達成の期限を、2050年どころか2020年や2030年に定めておりました。このことは、達成値は低いにせよ、世界各国が、あらゆる産業分野・生産製造過程におきまして、温暖化効果のある二酸化炭素などの排出量の少ない設備への転換、並びに、クリーン・エネルギーへの転換を急ピッチに進めていることを示しております。すなわち、太陽光パネル風力発電などの設備の大量生産によって、二酸化炭素の排出量が逆に増えている可能性を示しているのです。いわゆる「環境特需問題」が発生していると考えることができるのです。

 

 さらに、これに追い打ちをかけるように、世界の森林面積は、ここ20年間で、日本の面積の3.4倍が失われているそうです。「パリ協定」では、「2030年までに、2005年比で、森林ストック容量を約45億立方メートル増加させる」ことが定められておりますが、さして進んでいるようでもありません(北京にまで砂漠が迫っているともされ、加えて、森林は、育成するのに時間がかかる)。

 

 今般、世界の平均気温が最高値を記録したことは、「環境特需」と森林喪失によって、むしろ事態は悪化していることを示しているのです。そして、仮に、「環境特需問題」を無視して、「パリ協定」や「二酸化炭素排出量ゼロ」に向かって、さらに、クリーン・エネルギーを追い求め、太陽光パネルなどの生産を増加させますと、2030年や2050年までに、地球環境は、壊滅的状態となる可能性すらあるのです(劣悪な太陽光パネル風力発電施設は、故障による頻繁な取り換えによって、さらに二酸化炭素と産業廃棄物が増加)。

 

 このように考えますと、「京都議定書」や「パリ協定」は白紙に戻し、地球環境問題は、一から考え直す必要があるのではないでしょうか。「愚者の船」とならぬように。