時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

条約の功罪:「パリ協定」はなぜ危険なのか

 紀元前1280年、ヒッタイト王ハッツシュリッシュ3世とエジプト王ラムセス2世の間で人類史上最古とされる平和条約が結ばれました。この条約によりまして、平和は保たれたようであり、条約は、人類に平和をもたらす重要な国家・地域間の「契約」として、人類史上機能してきたと言うことができます。

 

 しかしながら、こうした条約のプラスの役割にのみ注目することは、危険であるようです。すなわち、人類史を概観してみますと、条約や協定を結んだことによって、むしろ戦争が引き起こされた場合や、条約を守った側に莫大な不利益が生じる場合が多かったからです。

 

 例えば、第二次世界大戦におきまして、1941年に締結された日ソ中立条約を一方的に破ったソ連邦によりまして、樺太(サハリン)、並びに、北方四島は占領され、今日に至っております。また、旧ユーゴスラヴィア紛争におきましても、武器の輸入を禁止する協定を守ったボスニアヘルツェゴビナ側が、守らなかった側のセルビア側との圧倒的な軍事力の差によって、その領土を失うという事態が発生しました。

 

 このように、条約や協定には、仮に、締結国の一方が守らなかった場合に、守った側が甚大な被害を被るという大きな欠点があるのです。

 

 このように考えますと、「パリ協定」は、危険であると考えることができます。それは、南沙諸島問題や尖閣諸島問題に示唆されますように、世界第二位の経済・軍事規模を有する中国共産党政権には、条約や協定を守るという姿勢が見られないからです。2060年までに、中国政府は「パリ協定」の目標を達成させると公言しておりますが、ジェスチャーに過ぎず、協定を守らないのではないか、と推測することができるのです。すなわち、他の国々が、2050年に設定されている「パリ協定」の目標の達成期限までの間に、不安定・高価なエネルギー問題によって壊滅するのを、中国政府は待っている可能性を指摘することができるのです(加えて、協定を守っていないと非難されても、中国のみが、まだ10年の猶予があると主張して、非難をかわすことができる)。

 

 「パリ協定」によって暴落した石油・石炭・天然ガス施設・地域を中国政府は、次々と買い取り、2050年までに、こうした化石燃料の生産地・生産施設のほとんどすべてが、中国政府(中国系資本・イルミナティ―系資本)の傘下に入ってしまい、世界の産業経済は、中国政府によって支配される可能性も指摘できるのです(向後、石油・石炭・天然ガスの需要はさして下がらないにもかかわらず、「パリ協定」によって需要は極端に下がると誤認されて、価格が暴落してしまう)。

 

 地球環境を守ろうとして、世界各国が、京都議定書や「パリ協定」を結び、あらゆる産業分野・生産製造過程におきまして、温暖化効果のある二酸化炭素などの排出量の少ない設備・製品への転換、並びに、クリーン・エネルギーへの転換を急ピッチに進めた結果として、産業・経済が破綻し、その一方で、協定を守らなかった中国政府(中国系資本・イルミナティ―系資本)が一人勝ちする、こうした構図は、悪魔の仕業なのではないでしょうか。

 

 第一次世界大戦期及び第二次世界大戦期は、「悪魔の支配した時代」と屡称されますが、次なる「悪魔の支配した時代」が忍び寄っている可能性があり、温暖化効果のある二酸化炭素などの排出量の少ない設備・製品への転換、並びに、クリーン・エネルギーへの転換には、より慎重であるべきなのではないでしょうか。