時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

脱炭素化運動は世界を武力支配したい中国の謀略?

 脱炭素問題が、地球の環境保護問題として人類共通の課題として提唱され、「パリ協定」によって、世界各国の二酸化炭素の排出量の具体的な削減数値目標が設定されるようになりました。そして、日本国政府の2050年までの「二酸化炭素排出量ゼロ」計画など、最近、特に世界各国の政治家を中心に、脱炭素化に向けた動きが加速化されているように見受けられます。

 

 脱炭素とは、石油、石炭、天然ガスなどの二酸化炭素を排出する資源をエネルギー資源として一切使用しないことを意味いたしますので、この動きは、石油、石炭、天然ガスが不必要となることを意味しております。従いまして、近い将来、石油、石炭、天然ガスは、誰もが見向きもしない無用の長物となるはずなのですが、なぜか、昨今、中国政府は、イラン政府との間に石油供給協定を結び、むしろ石油の確保に走っているのです。しかも、この協定の期限は2060年であり、中国が、ちょうど「パリ協定」によって、二酸化炭素の排出量の削減数値目標を達成することが定められた期限の年なのです。

 

 このことは、中国が、「パリ協定」をあざ笑うがごとくに無視していることを意味するとともに、世界各国が、脱石油に走っている最中に、逆により多くの石油を備蓄しようとしていることを示しております。では、それは何故なのでしょうか。

 

 本ブログにおきまして、「条約の功罪:「パリ協定」はなぜ危険なのか(2021年1月26日)」、「中国政府は海洋進出を進めている謎(2021年2月1日)」などで、脱炭素問題が、中国共産党政権を利していることを指摘いたしました。石油は、最重要と言ってもよいほどに極めて重要な軍事物資です。現時点におきまして、戦闘機や戦車は、石油無くしては動かず、石油以外の燃料で動く戦闘機や戦車を開発・生産するまでには、まだまだ時間がかかるからです。すなわち、石油の独占や備蓄量の比較優位は、軍事的優位を意味しているのです。

 

 脱炭素問題によって石油価格が下がりますと、中国は石油を安く大量に輸入することができるのですが、現在、石油価格は中国政府が期待しているほどには下がっていないようです。そこで、中国政府は、石油産出国であるイランとの間に協定を結び、石油確保に走っていると推測することができるのです。さらに、中国政府は、中国親派の世界各国の政治家に働きかけ、地球環境問題として脱炭素運動を強化させ、石油価格の下落を計画しているのではないか、と推測することができるのです。

 

 イランと協定を結んでまでして、石油確保に走っている中国の態度は、中国政府には、軍事的野心があるからこそ、世界各国の親中派の政治家などに、脱炭素社会を推し進めさせ、石油を‘無用の長物’と錯覚させることで、石油を大量備蓄し、軍事的に優位に立とうとしていることを示唆しています。このように考えますと、米国の高官も指摘されておりますように、台湾有事も絵空事ではなく、台湾の次に日本を狙ってくると推測することもできるでしょう。

 

 地球環境問題という、一見、戦争とは関連がなさそうに見える平和主義的な問題は、中国の謀略によって結びついており、地球環境問題に取り組めば、取り組むほどに、戦争が近づくという危険に国際社会は、気づくべきであると言えるでしょう。