時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

民主党政権の悪しき前例-文化財返還機関創設の提案

 民主党政権において、韓国政府に対して「朝鮮王室儀軌」を引き渡したことは、今となりましては、悪しき前例となったようです。下村文科相対馬から盗まれた仏像の返還を求めたところ、返ってきた返事が、日本政府は、文化財返還機関を設立せよ、という要求であったのですから。
 
 韓国側のこの要求の厚かましさに、驚いた国民も少なくないはずです。「朝鮮王室儀軌」については、違法に持ち出されたわけでもないにも拘らず、韓国側の”日本が盗んだ”とする宣伝される結果を招きました。「朝鮮王室儀軌」は宮内庁が所有していたため、政府の一存で引き渡しが決まりましたが、韓国側が返還を求めている6万7000点とされる文化財は、その殆どは、個人や財団が所有しているものです。韓国側の狙いとしては、日本政府の組織として文化財返還機関を設置すれば、法律や省令などを以って文化財を強制的に所有者から供出させることができると考えているものと推測されます。しかしながら、そもそも、”盗品の返還”という前提が疑わしく、機関の名称自体が日本国に対する名誉棄損であることに加えて、政府は、何らの補償もなく、合法的に取得した個人や法人から財産を取り上げることもできません(日本国では、大反対の世論が起きるものと予測される…)。
 
 下村大臣は、この提案に対して、無反応であったと報じられておりますが、韓国は、あくまでも盗品であると主張するならば、日本国政府に要請するのではなく、裁判に訴えるべきです。日韓の文化相会議は、両国の文化の違いを浮き上がらせただけに終わったのではないかと思うのです。
 
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