時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ハンセン病は感染病の一種-特別視こそ問題

 報道によりますと、ハンセン病患者の裁判を隔離して行っていた件に関して、最高裁判所は、謝罪の方針で調整中とのことです。しかしながら、取り立ててハンセン病隔離を問題にすることは、ハンセン病患者の人々にとりまして望ましいことなのでしょうか。

 最近、ハンセン病関連のニュースが増えたことから、どのような病気であるのか、ネットで調べてみました。その結果、判ったことは、感染力が極めて弱く、治療法も確立しているとはいえ、人間の自然の免疫力で感染を防げるのは95%であり、ある特定の治療法を用いる場合のみ、患者が感染源となることはないそうです。この情報からしますと、5%の人々には感染する可能性があり、発病までの潜伏期間や治療を受けていない場合には、やはり感染源となってしまうことになります。特別隔離法廷は、昭和23年から47年の期間に開かれたそうですが、当時の医療レベルと医学の知識では、隔離措置を設けることは致し方なかったのかもしれません。また、家族など、他の人にうつす可能性を考えますと、隔離生活に納得していた患者の方々も少なくなかったことでしょう(もし、私自身が感染したならば、家族や周りの人々に病気をうつすぐらいならば、迷わず隔離を選ぶ…)。

 感染の拡大防止と患者保護の両側面において、感染病患者の隔離にも一理あり、それは、他の伝染性の病気と何ら変わりはありません。マスコミや世論が国の隔離政策の被害者とみなし、患者さん自身も、通名を使うなど、世間の偏見と差別を殊更に意識するよりも、感染病の一種として割り切る方が、よほど患者さん自身の心も楽になるのではないでしょうか。誰にでも罹患する可能性はあるのですから。

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