時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

慰安婦合意履行-繰り返される対韓”どんぶり勘定合意”

 年末の日韓間の慰安婦合意については、日本国側が、先に合意内容を履行する公算が高いようです。10億円の拠出金の使途について、日韓間で交渉が進んでいるようですが、こうした曖昧な妥協は、今に始まったわけではありません。

 1965年の日韓基本関係条約の締結に際して、両国間で請求権協定が締結されましたが、この時も、戦後処理としての請求権の厳密な清算は脇に追いやられ、いわば、”どんぶり勘定合意”の状態でした。日本側は、正当な理由のある請求額を遥かに莫大な資金の拠出を約束する一方で、日本国民の個人資産に関する請求権は放棄させられたのです。1995年に発足したアジア女性基金もまた、その財政管理は杜撰であり、どこに消えたか分からない使途不明金が多額に上ります。そして今回もまた、何を基準に算出したのか不明な10億円の拠出が決まり、その使途は、今になって交渉の議題となっているのですから、これもまた、”どんぶり勘定合意”であったことは確かです。そして、合意額が高いほど、両国の政治家の懐に入るキックバックも多くなるとしますと、”悪のメカニズム”としか言いようがありません。

 しかも、韓国側は、10億円の資金について、介護や医療といった福利厚生費に限らず、慰安婦問題の研究・教育にも振り向けたい意向のようです。10億円の拠出金が、一部であれ、韓国側の歴史認識による”日本軍慰安婦20万人強制連行説”の拡散と”事実化”に費やされるとしますと、日本国民は、決して納得しないことでしょう。”どんぶり勘定合意”は、恐喝にあったような感情を日本国民に抱かせるのですから、この手法には、終止符を打つべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。