時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

陰謀を否定するリスク

 ここ数年、陰謀論が、案外、真面目に取り上げられている事例が増えているように思われます。一昔前であれば、陰謀論は、一笑に付されたことでしょう。

 それでは、何故、陰謀論を無視できなくなってきたのかと申しますと、歴史には、陰謀なくして説明できない事象が多すぎるからではないかと思うのです。例えば、かつてソ連邦が、コミンテルン等の”細胞”を駆使して、全世界の諸国に陰謀を仕掛けたことはもはや公然の事実です。俄かには信じがたい人物の”成り済まし”や”すり替え”さえ、北朝鮮の建国者とされる”キム・イルソン”が、実際には、ソ連邦抗日パルチザンであった実在の”将軍”として仕立て上げた人物であったことで証明されています。陰謀を企む組織にとっては、こうした詐欺的な手段は”当たり前”であり、”騙された方が悪い”と考えているのでしょう。そして、陰謀を働くのは、必ずしも国家とは限らないのです(宗教団体、秘密結社、国際組織…)。

 陰謀の実在性を考慮しますと、たとえ、通説や教科書の記述とは違っていても、陰謀の存在を認めることは、リスク管理の面からも重要です。陰謀の可能性を頭から否定しますと、リスクの管理も不可能となるからです。そして、何度でも、同じ陰謀の手法に騙され続け、被害を止めることもできなくなるのです。

 諜報機関や情報局が設置されていないため、日本国は、陰謀に対して極めて脆弱な国です。こうした状況は改善すべきであり、今後は、リスク管理の強化の面から内外の情報収集力を強化し、陰謀対策に取り組むべきではないでしょうか。

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