時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

消えた1万人の外国人技能実習生-無責任な事業者に罰則を

 日本国民の大半が移民政策に反対であるにもかかわらず、急速な勢いで日本国内で外国人数が増加している理由は、民間事業者が外国人を雇用するからです。特に外国人技能実習制度は、今日、”移民増加マシーン”と化しているかのようです。

 言い換えますと、移民政策で利益を得ているのは民間事業者ということになるのですが、それに付随するリスクについては、国民に丸投げです。本日も、技能実習生として入国した中国人のうち、1万人もが行方不明となっているそうです。失踪した外国人本人にも責任がありますが、この問題については、無責任な事業者も責任を負うべきです。

 第一に責任を負うべきは、実習生が実際に働いている事業者です。失踪の理由としては、過酷な労働条件や低賃金などが指摘されておりますが、仮に、逃げ出すほどに酷い、搾取的な労働環境にあるとしますと、職場の事業者は、外国人技能実習生から利益だけを搾り取っていると見なされても仕方がありません。

 第二の責任者は、海外で実習生を集めている斡旋業者です。近年、日本国の派遣業者もこうした移民斡旋事業に乗り出していますが、採用を決めた張本人ですので、最後まで責任を持つのが筋というものです。大量の失踪実習生を生み出す斡旋業者もまた、受け入れ先の国民の安全を考慮することなく、利益のみを追求する”悪徳業者”といっても過言ではありません。

 失踪者を出した事業者に対する罰則規定としては、一人や二人の場合は、待遇の改善命令という形となるのかもしれませんが、悪質な場合には、(1)外国人技能実習生制度の利用停止、(2)事業免許の取り消し、(3)罰金や課徴金の徴収などが考えられます。

 なお、政府は、規制緩和の方針で法改正を行いましたが、外国人技能実習制度の利用拡大は、際限なく移民が増加するリスクもあります。同制度の今後については、国民的な議論を経た合意を形成すべきであり、政治サイドによる独断的な拡大は、現実的なリスクに晒されている国民の反感を買うのではないでしょうか。

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