時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国共産党による企業買収の脅威

 本日も、歴史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。昨日、本ブログにて、グローバリズムに育てられている「シナノサウルスChinanosaur」がもたらす危機として、中国政府系企業に買収された外国企業が、中国共産党政府の下部組織化してしまう、という問題が発生すると指摘させていただきましたが、今日は、この点を補足しておきたいと思います。
 
今日の企業買収のシステムと株式会社制度により、中国共産党政府系企業が海外企業を買収した場合、実質的に、中国共産党政府は、政府系企業を通して株主権を行使し、買収された企業に対して、自らの意に適った経営や経営人事を行うことができるようになる点も、「シナノサウルスChinanosaur」が獰猛である理由に加えることができます。
 
株式会社という形態には、企業側から見ますと、株券発行の際には資金を調達し、株価の上昇の際には含み資産を増やすメリットがあります。一方、株主側から見ますと、投機的な目的な場合もありますが、投資先企業の活動を資金面から援助する見返りとして配当を受けとると共に、経営にも口を挟む権利を得ることができます。企業と株主との関係は、一先ずは、ギブアンドテークが見られます。
 
しかしながら、中国共産党政府系企業は、より巧妙にこの制度を利用する可能性もあります。極論を言えば、競争相手となるような国の優良企業を買収して、株主、中国人、もしくは、中国共産党政府寄りの人物を役員に据えるに留まらず、表面上は、企業経営しているかのように見せかけながら、必要な技術を取得した後には、リストラと称して現地従業員を整理してしまう可能性もないわけではありません。
 
中国共産党政権につきましては、これまでも、国家ぐるみでサイバー攻撃や産業スパイ問題など、他国の産業を衰退させるような政策を採ってきております。この点を踏まえますと、中国政府系企業の海外企業の買収活動は、国策でないはずはありません。
 
最強といわれたティラノザウルスという肉食恐竜は、徐々に、その頭部を大きく進化させ、高度、かつ、狡猾なやり方で狩りを行ったようです。現在に蘇ったティラノザウルスならぬ「シナノサウルスChinanosaur」に呑み込まれてしまはないよう、国際社会は、十分な防衛策を練る必要があるのです。

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(続く)