時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

19世紀のノートルダム大聖堂復活事業が示す“偽復古主義”問題

今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。本日の日経新聞の文化欄に『仏国民結んだ「貴婦人」』と題して、ノートルダム大聖堂の歴史についての記事があり、19世紀におけるその修復事業の理由を、19世紀の人々による中世建築の美を再発見、すなわち、『ゴシックリバイバルゴシック建築の復活)』運動に求めておりました。
 
しかしながら、実際に修復事業が行われますと、屋根には創建当初よりも10mも高い尖塔が取り付けられたり、19世紀の人物をモデルとした福音史家と12使徒の彫像が新たに加えられたり、大聖堂は、もとの中世の時代の姿にノートルダム寺院を再興しようとする復活運動の目的とは外れた状態に“修復?”されてしまったと言えるでしょう。その理由として、昨日、イルミナティー思想の介在を指摘いたしました。
 
イルミナティーの戦術の最も大きな特徴は、詐欺にあります。すなわち、創建当時の「中世の姿に戻す」と唱えながら、実際にはそうせずに、別物にしてしまう、という作戦が、イルミナティーの得意技なのです。イルミナティーの“偽復古主義”にフランス国民は、騙されてしまったようなのです。後から、それに気付いた人々によって、19世紀の大修理は大きな批判を浴びることになったのでしょう。
 
このように考えますと、明治維新の際の「王政復古」にも、同じようなイルミナティーの作戦が見えるかもしれません。徳川幕府を廃して、古の天皇太政官制を復活させようという運動は、表面上は復古に見えながらも、実際には、イルミナティーのお気に入りの人物達が、「チーム明治天皇」や明治政府の要人となることで、イルミナティーが、国家権力を掌握するための新たな権力体がつくられたに過ぎなかったと推測することができます。
 
“偽復古主義”とでも称すべきイルミナティーの作戦は、国民の自国の歴史や文化への愛着、憧憬、思い入れが強い分だけ、その感情に訴えるものとなって効果が発揮され、国民側は騙され易くなってしまうのです。イルミナティーは、あらゆる分野におきまして、“偽復古主義”詐欺を続けるつもりであるかもしれませんので、今後は、騙されないようにすることが、肝要であると言えるのではないでしょうか。

 
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(続く)