時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国GDP世界第二位を素直に祝福できない理由

 昨日、中国がGDPで世界に位となることが確定したことを受けて、財界の方々がコメントを述べていました。その多くは、”祝福すべき”であったり、”一緒に成長すべき”というものでしたが、素直に中国の成長を喜べない理由があると思うのです。


 一般論としては、発展途上にあった諸国が経済成長を達成し、豊かな国になることは歓迎すべきことです。しかしながら、中国の場合には、共産党一党独裁という特異な体制を維持しており、しかも、独裁体制の閉鎖性から、歯止めのない軍拡に邁進しています。昨年の尖閣諸島事件は、中国の軍事的脅威の象徴でもあります。また、経済分野においても、中国政府の自己中心的な政策に振り回されており、技術移転、雇用の喪失、安価な中国製品との競争などに苦しむことにもなりました。このように、中国の成長は、必ずしも、プラス面ばかりではないのです。

 非民主的な国家である中国の成長が、自国の安全保障を脅かし、しかも、属国化される恐れもあるとしますと、もろ手を挙げて祝福できない、というのが、日本国民の大方の本音なのではないでしょうか。我が国は、中国の大国化がもたらすチャイナ・リスクに対する備えこそ、心得なければならないと思うのです。

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