時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

国会のねじれは憲法改正でしか直せない

インド洋での給油活動延長に関する法案をめぐり、衆議院と参議院との”ねじれ”た関係が問題視されるようになってきています。この”ねじれ”は、三重の”ねじれ”の複合体です。 第1の”ねじれ”は、首相選出の権限は衆議院に優位を認める一方で、一般の法案につい…

凄まじき官僚の倫理喪失

江戸時代の日本国を少しばかり誇らしく思える逸話に、トロイ発掘で知られるシュリーマンが日本国を訪問した際の、税関でのお話があります。それは、シュリーマンが、中国の時と同じように係りの幕府官吏に賄賂を手渡そうとしたら、胸を叩いて「ニッポンムス…

中国の防衛戦争は侵略戦争

先日開かれました中国の共産党大会で、今後の軍事政策について、軍の近代化は自国の防衛を目的で行う、とするの方針が明らかにされました。一見、専守防衛とも受け取られるのですが、この表現は、中国が自国の領土と見なす地域については防衛戦争を遂行する…

裁判員制度の新聞広告は逆効果?

本日の朝刊には、新聞各社とも、裁判員制度に関する広告を一面を割いて掲載していました。裁判員制度は国民に負担をかけるものではないことをアピールしようとしたのでしょうが、その内容を読んでみますと、むしろ、逆効果なのではないか、と思うのです。 1…

日本国は軍事政権よりもビルマ国民の味方に

中国のみならずインドまでもが、国連におけるミャンマー制裁に対して反対するようになったことは、まことに残念なことであり、アジアの将来を憂わざるをえません。終に、アジアにおいて日本国のみが、軍事政権反対の砦になりつつありますが、それとても、政…

底なし沼に引きずりこまれそうな対朝交渉

新聞やインターネットの報道によりますと、高村外務大臣は、北朝鮮に対し、数人の拉致被害者が帰国するような場合も拉致問題の進展と認める、とする内容の発言を行い、対朝支援の可能性を示唆したと言います。しかしながら、これでは、まるで人質事件におけ…

政府は経済成長のエンジンにはなれない

政界では、財政をめぐって、成長重視派と財政再建派とが鎬を削っているようです。この対立は、本当のところは、経済学でいうところの新自由主義派vs.ケインズ派ではないか、と思うのです。 この対立から見ますと、財政再建派を、”財政再建を政策目的として取…

対中ODAは自らを滅ぼす?

近年の急速な経済成長を背景として、中国政府は、兵器近代化のために軍事費を拡大し、宇宙開発にまで乗り出していると言います。それにもかかわらず、我が国が、年間1000億円にものぼる経済支援を行っているという記事を読むにつけ、”他者をして強大たらしめ…

事実上の民主党政権の誕生?

本日の新聞報道によりますと、給油新法は、今国会での成立が困難となるとの憶測が流れているようです(日経10月23日付朝刊)。その理由は、守屋氏への証人喚問によって、法案の審議が大幅に遅れるため、衆議院での再議決を行うには時間的に無理があると説明…

センター試験は公平か?

大学の合否に関して、センター試験の結果が大きな影響を与えていることは、偽らざる現実です。もし、この試験が、受験生の将来を左右するとするならば、より公平な制度への改革を行うべきではないか、と思うのです。 第一に、教科ごとに平均点にばらつきがあ…

消費税アップは最後の手段

財政危機を脱し、増加傾向にある社会保障費を賄うためは消費税率を挙げなければならない、とする意見が、近年、散見されるようになりました。しかしながら、歳出削減なくしては、税率アップは、国民の納得を得られないのではないか、と思うのです。 歳出削減…

左翼思想が説得力を失った理由

戦前戦後を通して、多くの知識人が共産主義や社会主義に理想を求め、革命運動に身を投じることになりました。そうして、左翼こそが進歩的な思想であり、時代の先端をゆくものと主張したのです。 しかしながら、現在に至って明らかになったことは、左翼の思想…

古代にもあった日本国の対中政策論争

現在、日本国の政界では、中国に対して一線を画した外交が良いのか、それとも、融和政策が良いのか、議論が大きく分かれているようです。 対中政策の選択は、日本国の運命を決定づけることになるのですが、実は、過去において日本国が同様の立場に置かれた時…

亀田一家批判は日本国民の健全性の証

ボクシングのフライ級タイトルマッチにおいて違反行為を繰り返した亀田一家に対する批判が、連日、新聞やテレビ等で大きく報道されています。この現象は、一面において、日本国民のルールに対する健全な意識を顕しているとも言えます。 もし、ルール違反が当…

日本国の政治を蝕む公明党

公明党の存在が憲法に違反していることは明白でありますのに、巧妙な既成事実化と政権への参加を通して、政党として居座ってしまっています。このことが、日本国の政治をひどく蝕んでいることを考えますと、一宗派の政治介入の道具となっている公明党は早急…

憲法第9条は思考停止をもたらす?

日本国憲法の制定以来、第9条は、絶対的平和主義の砦となってきました。平和自体は、可能な限り追及されなくてはなりませんが、力の正当な行使、あるいは、正義のための力の行使という問題に対しては、その議論を封印する役割を果たしてしまったとも考えら…

憲法第9条は主権平等の原則に反する

憲法第9条こそ、世界に誇るべき日本国の宝である、とする意見を良く耳にします。しかしながら、見方を変えますと、賞賛一辺倒とばかりは言えないのではないかと思うのです。何故ならば、憲法第9条は、主権平等が原則である国民国家体系にあって、日本国の…

テロリストの恐怖による支配を許しますか?

インド洋での給油活動の延長について、賛成派も反対派も、自らの主張にこそ正義があると信じています。現在、両者の議論がかみ合わないのは、何故、テロリストと闘うのか、という本質的な問題を論じていないからなのではないか、と思うのです。 おそらく、反…

皇室の中立性の維持を

皇室についての議論と申しますと、皇室典範の改正問題に偏りがちです。しかしながら、何にもまして大切なことは、皇室の中立性を守ることではないか、と思うのです。 皇室の危機とは、その皇統の継承のみに発するものではありません。国家と国民の統合の象徴…

インド洋での給油活動の継続を

テロリストとは、国境を超えて活動を行うものです。このため、自国一国のみで、テロリストと闘うことには限界があり、どうしても国際社会で協力体制を築く必要があるのです。 テロリストの脅威は、日本国を含めてすべての国家に及ぶものです。アフガニスタン…

法学の教科化は犯罪も防ぐ

義務教育過程で法律を教えることは、近年増加傾向にある”いじめ”事件の対策にもなりますし、さらには、社会全体の犯罪件数を減らす効果があるかもしれません。全ての人々が、何が犯罪であるのかを知ることは、社会の安全を守るために必要なことなのです。 こ…

悪が善に倒錯する北朝鮮

新聞報道によりますと、北朝鮮は、1994年の枠組み合意を無視し、NPT体制に反して強硬に実施した核実験を「偉大なる奇跡」と自画自賛していると言います(産経10月10日付朝刊)。国際社会を騙して恐喝の手段を獲得したことが、どうして”尊厳の高い民族”の”偉…

裁判員制度導入の前に法学の教科化を

2009年から導入予定の裁判員制度では、抽選で選ばれた裁判員が、事実の認定のみならず(事実認定のみですと陪審員制度)、法律の適用をも判断することになります。考えてみますと、これまで、国民は、義務教育課程にあっても、法律についての纏まった知識を…

”ばらまき政策”よりも教育のレベルアップを

子育て支援と言いますと、どの政党も、とかくに育児手当や子供手当の支給額の増額や支給対象の拡大を挙げる傾向にあります。しかしながら、日本国の長期的な展望から見ますと、むしろ、個々人に手当金を配布する”ばらまき型”よりも、教育全体の質的向上をは…

社会主義路線をひた走る民主党

これまで矢継ぎ早に社会保障拡充政策を打ち出してきた民主党は、ついに、育児手当の一律月2万6千円の給付という大胆な案を提示するに至りました。こうした社会主義路線は、政策の表面だけを見ますと国民に”やさしい政策”のように見受けられますが、実際に…

民主党の国連従属政策の的外れ

2001年以来、継続してきた海上自衛隊によるインド洋における給油活動は、終に、民主党の強固な反対を受けて、中断に追い込まれることになりました。その一方で、民主党は、政権をとった暁には、アフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF)には、自衛隊を参…

軍事独裁国家は”外套”を脱ぐのか?

今回の南北首脳会談は、あたかも、韓国の蘆武鉉大統領が推し進めてきた”太陽政策”の総仕上げのような観を受けます。南北首脳宣言では、朝鮮戦争の平和条約による平和体制の構築や韓国による大型の経済支援などが謳われました。しかしながら、最も肝心なこと…

マニフェストと国会運営のルール作り

国会運営において、国民が、最も恐れるべき事態とは、選挙で多数を占めた政党が、マニフェストに記載されていない法案を、突然、数の力で通してしまうことです。国民の支持が定かでない政策が、勝手に動き出すことになるのですから、これほど恐怖なことはあ…

あまりに罪深き民主党の小沢氏

参議院選挙における民主党の大勝は、日本国の政治に、未だ収まらぬ混乱をもたらしています。この混乱の原因のひとつに、民主党党首である小沢氏の政治手法の問題があると思うのです。 第一に、小沢氏は、参議院選のマニフェストに掲載せずして、テロ特別措置…

教科書には事実のみを

戦争末期の沖縄戦は、極めて悲惨なものとなり、沖縄の方々の尊い命が、戦禍の中で無残にも失われました。このこと自体は、誰も否定しませんし、歴史に記録された全国民が知るべき痛ましい事実です。 しかしながら、”軍の命令”については、第一に、事実である…