時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

事実上の民主党政権の誕生?

 本日の新聞報道によりますと、給油新法は、今国会での成立が困難となるとの憶測が流れているようです(日経10月23日付朝刊)。その理由は、守屋氏への証人喚問によって、法案の審議が大幅に遅れるため、衆議院での再議決を行うには時間的に無理があると説明されています。もし、この法案が両院で成立しないとしますと、事実上、民主党政権が誕生していることになるのではないでしょうか。

 インド洋での給油活動は、テロとの闘いに参加する我が国の国際協力の一環であり、国際社会の安全を享受する全ての国が負うべき負担でもあります。もちろん、日米同盟を盤石とする役割をも担っています。アジア情勢が必ずしも安定化に向かっていない状況にあって、国際社会における自国の立場を揺るがすような政策は望ましくなく、与党である自民党は、その必要性を深く理解しているからこそ、新法を提出したはずと思われます。しかしながら、国会運営の結果、与党の法案が可決されず、野党の政策が通るとしますと、これは、野党が政策決定権を持っていることを意味することになりましょう。

 憲法では、衆議院選挙をもって政権の選択を担わせているのですから、仮に、参議院の多数党の政策が優位するとなりますと、憲法の原則にも反することになります。衆議院の解散時期や汚職の追及などよりも、まずは、日本国を背負う与党としての責任を果たしていただきたいと思うのです。