時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

対中ODAは自らを滅ぼす?

 近年の急速な経済成長を背景として、中国政府は、兵器近代化のために軍事費を拡大し、宇宙開発にまで乗り出していると言います。それにもかかわらず、我が国が、年間1000億円にものぼる経済支援を行っているという記事を読むにつけ、”他者をして強大たらしめる原因をつくった者は、自らを滅ぼす”というマキャベリ箴言を思い出してしまうのです。

 対外的な経済支援とは、本来、財政が豊かではないために、充分な生活関連のインフラや教育施設を整備できない国々に対して行われるべきものです。支援先を決定するに際しては、公的な投資資金に困窮していることが前提となり、軍事費や先端科学技術など、覇権主義や国威高揚のために不透明な予算配分を行っている国は相応しくはありません。被支援国は、こうした政策に国費を費やす余裕があるならば、まずは、自国の予算で国民の生活水準の向上をはかるべきことは、あまりに当然のことと言えましょう。

 この当然のことが当然とはならず、無批判、かつ、無責任に対中ODAを続けることは、間接的には、日本国の安全を脅かすことになりかねません。自国が滅びる原因を自らつくるような政策は、見直しを行うべきではないか、と思うのです。