時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

福田政権に見る首相公選制の必要性

最近、とみに、首相の一存によって、国家の基本方針に関わる政策決定が行われることが多くなっているように思われます。長野の聖火リレーからクラスター爆弾禁止条約の合意に至るまで、首相の決断が大きく国家の方針を決定、否、変えているのです。 こうした…

クラスター爆弾によって守られている命

クラスター爆弾の不発弾により、多くの民間人の方々が負傷する痛ましい状況には、確かに何らかの手を打つべきではありましょう。しかしながら、その方法が、クラスター爆弾の全面禁止であるかと言いますと、それは違うのではないかと思うのです。何故ならば…

道州制への移行は地方分権化?

本日の新聞報道によりますと、自民党の道州制推進本部は、本日午後、はじめて具体的な道州制の区割り案を提示したと言います(本日付日経夕刊)。これまでにも道州制への移行は、地方分権の一環として取り上げられてはきましたが、この改革、本当に、地方分…

何かがおかしいアフリカ支援会議

現在、横浜において、アフリカ諸国の首脳を招いて、TICAD―アフリカ支援会議―が日本国政府主催で開かれています。資源の宝庫であるアフリカ諸国との経済的な繋がりを強化し、また、国際社会における日本国への支持を広げようとする狙いがあるようなのですが、…

翻弄される日本国

本日、北朝鮮が、拉致被害者を帰国させる可能性を示唆したとする報道がありましたが、その狙いは、一体どこにあるのでしょうか。少なくとも、北朝鮮が拉致行為を反省し、原状復帰として被害者を返すわけではないことはだけ確かです。過去の言動が”うそ”であ…

”温暖化”棚上げ方式の提案

温暖化ガスの削減問題については、地球の温暖化や異常気象の原因は本当に二酸化炭素なのか、という払拭しがたい疑いがもたれています。二酸化炭素犯人説は有力な説ではあるのですが、これまでのところ、科学的な確証は示されていないのです。そこで、原因の…

消費増税は安易で危険な解決方法

自民党の内部では、歳出削減を棚上げして、増え続ける社会保障費等による歳入不足問題を、消費税率を上げることによって解決しようとする意見が強まっていると言います(日経新聞本日付朝刊)。しかしながら、消費増税ほど、安易で危険な解決方法ないように…

ひとりっ子政策は中国人の心を変えたのか

四川大地震の被害現場の映像の中で、特に見る者の涙を誘ったのは、大切に育ててきた子供を失っった悲しみに泣きくれる親御さんたちの姿でした。中国人の親子関係については、かつては子沢山であったこともあってか、親孝行の道徳は強調されることはあっても…

本当の目的を隠した法案

近年に至って、本当の目的を隠した法律や法案が多くなってきていると感じるのは、私のみでしょうか。例えば、「個人情報保護法」は、ダイレクトメールといった迷惑行為への対応と説明されていましたが、いつの間にか、個人の情報を隠したり、情報開示に制限…

アジア経済・環境共同体とは?

政府は、6月に発表予定の経済成長戦略において、アジア域内の物流の整備を柱とした「アジア経済・環境共同体」なる組織の構築を提案すると言います(日経本日付朝刊)。この提案には、幾つかの点で、優先順位に誤りがあるようにも思うのです。 第一に、政治…

裁判員は義務か、権力の行使か

裁判制度をめぐっては、現代の”徴兵制”に喩えられるように、国民の義務の側面が強調される傾向にあります。その反面、裁判権とは、そもそも、国家権力の一つであることに思い至りますと、抽選で選ばれた人が、この権限を行使することは、是か非か、という問…

アフリカへのODA増額は票の買収?

日本国政府が、アフリカへのODAを増額する理由として、しばしば国際機関におけるアフリカ票を獲得するため、と説明されています。しかしながら、このばらまき行為、本当は、国際社会を舞台とした票の買収ではないか、と思うのです。 国内の選挙にあっては、…

ゆとり教育が日本国で失敗した理由

ゆとり教育の失敗が広く認識され、脱ゆとりの教育へと大きく舵が切られる中、ゆとり教育の失敗原因については、まだ十分には分析されていはいないようです。そこで、ひとつ考えられる要因として、日教組教育に代表されるような、教育現場における思考の硬直…

「一院制議連」―議会制度改革の道を開くか?

自民党の衆参議員の有志が集まって、一院制について考える「一院制議連」が、今月16日に発足したと言います。二院制を支持する意見もあるのですが、二院制に拘らなくてもよい理由は、その歴史にあります。 二院制は、議会制度のスタンダードとみなされがち…

記者クラブはマスコミ統制の手段?

聖火リレーや胡主席訪日の報道に際し、国民の多くが特に違和感を覚えたことは、マスコミが、日中政府の共同演出によるプロパガンダ作戦のお先棒を担いでいることでした。これまで、マスコミは、三権に次ぐ第四の権力とも称され、独立した立場から、政府を牽…

アイヌ人の先住民認定はよく考えて

最近に至って、政府は、2007年9月17日に国連で採択された「先住民の権利宣言」に応じ、北海道に住むアイヌ人の方々を、この先住民として認定する方針を示したそうです。洞爺湖サミットを意識してのことらしいのですが、この認定が、アイヌの方々、お…

報道されないチベットの被害状況

四川省で発生した大地震において1000万人にも上る方々が罹災し、大切な家族を失われるなど、尋常ではない犠牲の大きさに心が痛みます。震源地の周辺は、アバ・チベット族などの少数民族がが多く居住し、中国政府の救援隊が入り、必死の救出作業を行って…

人権擁護法案は憲法第35条違反

人権擁護法案については、国民の言論や表現の自由の侵害など、様々な観点から憲法違反が疑われていますが、その一つに、住居の不可侵を定めた第35条違反も加えることができるのではないか、と思うのです。 憲法第35条2項では、以下のように述べています…

平沼新党と鳩山氏の連携はキメラ?

福田政権の誕生により自民党と民主党との違いが薄れ、これまで自民党を支持してきた保守層は、政党の選択に困惑する事態に至りました。この迷える保守層の受け皿として、平沼新党が期待されたのですが、民主党の鳩山氏が、平沼新党との連携強化を打ち出すと…

30万人留学生プランは計画経済

最近になって、政府は、移民政策に関連して、”30万人留学生プラン”などを打ち出すようになりました。この数値目標付きの”プラン”には、悪しき計画経済のニュアンスがあり、その行く先に、不安を禁じえません。この計画は、将来においてとんでもないトラブ…

洞爺湖サミットこそ試金石?

今回の胡主席訪日に際しては、露骨なマスコミ統制と過剰な友好演出が国民の多くを辟易とさせ、同時に、日本国の言論や表現の自由が危惧される事態ともなりました。ところで、今年7月に予定されている洞爺湖サミットにおいて、政府は、これまでと同じような…

日中友好演出少なし仁

もはや共産主義を統治の柱に据えられなくなった中国は、最近に至って、孔子の思想を大々的に宣伝し、西欧起源の民主主義や自由よりも優れていると自慢していると言います。その中国が礼賛する孔子が著した『論語』の中に、”子の曰く、巧言令色、少なし仁”と…

最善の道は中国が野蛮から抜け出すこと

中国によるチベットや新疆ウイグルにおける民族弾圧や抹殺は、中国の伝統的な慣習であって、古代から繰り返されてきた行為の継続に過ぎない、とする意見があります。つまり、仕方がない、ということです。しかしながら、ここで諦めてしまいますと、人類は、…

早稲田の杜は揺れたのか

本日、早稲田大学において、来日中の胡主席の講演が行われ、NHKでもその様子が特別番組として放映されていました。その一方で、新聞報道やネット情報によりますと、早稲田大学では、チベット弾圧をおこなう中国政府に対する大規模な抗議運動があったらしく、…

福田首相がチベットの地位を問われたら

本日正午過ぎ、日中首脳の共同記者会見が開かれましたが、残念なことに、会場の記者からの質問は、肝心要な部分を避けていたように思います。おそらく、予め質疑応答のシナリオが準備されていたからかもしれませんが、もし、福田首相に対して、記者の中から…

倫理と愛国との葛藤が待っている中国の人々

北京オリンピックの聖火リレーとともに、世界各地では、動員された中国人による大規模な愛国主義運動の嵐が吹き荒れました。しかしながら、この愛国主義は、あまりに空しい結末を迎えるように思うのです。 人々の耳目を集めるという意味においては、確かに、…

国民の義務とは裁判員ではなく遵法では

裁判員を引き受けることは、違憲の判決を得るまでは、確かに法律上の国民の義務ではあります。しかしながら、司法分野における国民の本質的な義務とは、本来、全ての国民が等しく法律を守ることであって、裁判員になることではないのではないか、と思うので…

革命の論理ではチベット侵略を正当化できない

中国によるチベット侵略の擁護論として、当時のチベットには封建的な土地制度があって、地主から搾取を受ける農奴の人々が沢山いた、という主張が聞かれることがあります(中国側のプロパガンダかもしれませんが…)。つまり、人民解放軍は、チベットの農奴を…

憲法改正を怖れる事なかれ

憲法改正⇒戦争という思考回路が出来上がってしまいますと、なかなかこの固定概念から抜け出ることは難しいものです。ですから、ここで憲法改正の必要性を力説しても、あまり効果はないかもしれません。しかしながら、何時までも、半世紀を過ぎた憲法をそのま…

胡・池田会談の極楽と地獄

本日の新聞朝刊に、今月6日に来日する中国の胡主席と創価学会の池田氏が、8日に会談を予定しているとの記事がありました(産経新聞朝刊)。果たして、この欺瞞に満ちた会談、両者の思惑どおりの結果を得ることはできるのでしょうか。 表面だけを見ますと、…