時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

消費増税は安易で危険な解決方法

 自民党の内部では、歳出削減を棚上げして、増え続ける社会保障費等による歳入不足問題を、消費税率を上げることによって解決しようとする意見が強まっていると言います(日経新聞本日付朝刊)。しかしながら、消費増税ほど、安易で危険な解決方法ないように思うのです。

 第1に、日本経済の置かれている状況が考慮されていないことが指摘できます。日銀の経済予測が変更されたように、資源高や円高を背景に、日本国経済の成長率は鈍化し、かつ、物価も上昇局面にあります。このような状況にあって増税を行いますと、日本国の景気を下げる要因をもう一つ政府が作ってしまうことになります。物価上昇は、消費税による歳入を比例的に増加させますので、税率を上げなくても、実質的には政府の歳入増になるはずです。

 第2に、もし、自民党が、景気刺激策としての財政拡大は有効であると考えているとしたならば、国レベルで夕張市新銀行東京の失敗を再現することになりそうです。国家が市場においてできることは限られており、政治的な思惑で国費を公的事業に投入しますと、運営失敗による負債は、国民に回ってくることになります。

 第3に、歳出削減なく増税をするとなりますと、国民の多くが納得しないことも挙げられます。民間の会社では、経費削減に取り組み、無駄を省くために絶え間ない努力を続けています。その一方で、政府部門については、国土交通省の例を挙げるまでもなく、税金の無駄遣いが数多く指摘されています。また、一向に、行財政改革が進む様子も見られません。それどころか、消費者庁といった、新たな行政組織まで誕生しそうです(消費者庁の設立により、仕事を移管した省庁では人員が削減されるのでしょうか?)。
 
 自民党が、消費税率上げを掲げて選挙に臨むとしますと、これは、自滅行為としか言えません。ここは、知恵を絞って、国民の納得する政策を掲げませんと、とうてい選挙は戦えないのではないか、と思うのです。

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