時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

熱狂に潜む危険に注意!

参議院選挙の結果、当初の予測どおりに民主党が躍進いたしますと、このブログ欄でも、あたかも革命熱に浮かれているかような、現政権に対する罵倒と怨嗟に満ちた記事が多く見られるようになりました。しかしながら、熱狂ほど人々の理性を狂わせ、判断を誤ら…

制度改革への地殻変動

今参議院選挙で明らかになったように、近年の選挙は、国民が政策選択を行うよりも、現状への不満を表現する手段となってしまっているように見受けられます。この結果、衆議院と参議院とで第一党が異なるというねじれ現象を生み出し、両院制が相互に牽制し合…

良き国づくりのための議論を!

報道によりますと、今回の参議院選挙では、前回の選挙と比べて期日前投票に限っては多くの有権者が投票所に足を運んだようです。実際の投票率はやや下がるとの見通しのようですが、国民の選挙への関心自体は、それほど低くはなかったように見受けられます。 …

政府は”打ち出の小槌”持っていない!

選挙が近づきますと、各政党とも、票集めのために耳に心地よい”ばらまき政策”を公約として並べ立てるものです。一方、選ぶ側の有権者も、自らの利益になるような政策を支持しがちです。しかしながら、よくよく考えてみますと、政府は、振れば黄金がこぼれる…

悪者にされたナショナリズム

とかくに、わが国では、ナショナリズムという言葉を聞いただけで、眉をひそめる人が少なくありません。しかしながら、ナショナリズムには、良い作用もありますので、否定的な側面ばかりを強調してはならないと思うのです。 ナショナリズムの良い面とは、第1…

原始時代に適した独裁体制

観念として”独裁はいけない!”と分かってはいても、何故”だめ”であるのかを論理的に説明することは、なかなか難しいものです。独裁が否定される理由は多々あるのですが、ここでは、この体制が、複雑化した現代社会には適応不可能である点から説明してみるこ…

マスコミは北朝鮮の隠れシンパ

日本国のマスコミが、イラク戦争に際して日本国政府を厳しく非難したことは記憶に新しいことです。その一方で、今般、六カ国協議において、日本国政府がアメリカ政府の融和策に同調しない姿勢を示しますと、今度は”バスに乗り遅れるな”とばかりに日米協調を…

善悪の区別ができない北朝鮮

北朝鮮という国家は、事あるごとに日本国を非難し、邪悪な国家というレッテルを張ろうとします。こうした言動に接するにつけ、つくづく北朝鮮の善悪の判断能力に疑いをもってしまうのです。 北朝鮮は、自らの行為を省みたことはないのでしょうか。無辜の日本…

頼りにならない国連

我が国には、戦後一貫して”国連神話”なるものが存在していました。それは、日本国が安全保障の危機に瀕するような場合には、正義の味方の国連が助けに来てくれる!という勧善懲悪のストーリーでした。しかしながら、よくよく考えてみますと、この出来すぎた…

公文書を捨てないで!

我が国では公文書の保管に関する制度が未整備であることは、しばしば指摘されているところです。官公庁の文書のみならず、存在の証である戸籍簿までが、わずか80年の保管義務しかなくなると言います。 国家とは、過去から未来へとつながる永続的なものである…

年金の管理運営は民営化できる?

本日の日経新聞朝刊に、”国民年金と厚生年金の積立金を運営している年金積立金運営機構(GPIF)が、社債投資から国債投資へと運営方針を切り替える”、という記事がありました。理由は、社債市場を歪めるということのようですが、積立年金の運用は、果たして…

信頼できない官よりも信頼できる民

明治以来、官の事業であることは、それだけで信頼性が保障されているようなものでした。しかしながら、現在に至り、社会保険庁の不祥事が明るみに出たこともあって、これまで国民から寄せられてきた官への厚い信頼を、官自らが壊してしまった感があります。 …

憲法改正はアラカルト方式で

国民投票法案が国会において可決されたことにより、今後、わが国でも、憲法改正に関する議論が活発化するものと予測されます。ただし、この憲法改正手続きを進めるに際して、予め決めておかねばならないことがあります。それは、憲法典そのものを置き換える…

年金制度案に潜む哲学論争

公的年金の制度設計は、社会保障に関する哲学の相違によって大きく違ってきます。その最大の対立軸は、セーフティーネットvs.ナショナル・ミニマムです。 セーフティーネットの考え方は、経済力に欠けて自活できない人に限定して、公的な救いの手を差し伸べ…

日本国核武装の大前提はNPT条約の改正

近年、北朝鮮の核保有が現実味を帯びる中で、日本国においても核武装が議論されるようになりました。しかしながら、この問題について議論するに先だって確認しておくべきことは、核兵器を合法的に保有するには、NPT条約の改正が必要である、ということです。…

政策立案に”節約競争”を!

我が国の財政は、巨額の累積赤字のためにひどく傷んでおり、極めて危機的な状況にあります。そこで、わずかでもこの状況を改善させるために、少ない予算で最大の効果を引き出すことを競わせる、政策間競争のメカニズムを導入してはどうか、と思うのです。 こ…

統治学の再構築

学問と実践との理論的な繋がりを築くために、政治を含めたより広い”統治”という視点から、政治学の再構築を試みてみました。これを、統治学と呼ぶことにしました。 統治学の基本は、統治の役割を、その本質に即して”戦略的意思決定”、”内部調整”、”秩序維持”…

消費税率アップは逆効果?

現在、我が国の財政が危機的な状況にあることに加えて、2009年に基礎年金の国庫負担分が2分の1になることから、消費税率上げをめぐる議論がなされております。もちろん、その目的は、税率を上げることによって歳入を増やし、不足分の財源に充てようという…

反戦と母性の論理

戦争反対運動において、最も強く女性層に訴えるのは、”あなたの息子さんを戦地に送らせてはなりません”というスローガンです。手塩にかけて育てた自分の子供を、戦地で失ってもよいと思う母親はおりません。ですから、この訴えは、母性本能を刺激し、女性層…

憲法第9条と見殺しの罪

憲法第9条は、道徳的に完璧であって、人類が残すべき貴重な遺産である、という主張をときどき耳にします。しかしながら、これは、本当にそのとおりなのでしょうか? 確かに、戦争といった武力衝突が一切なくなった状態は、人類の理想郷でありましょう。しか…

民主党年金改革案は年金制度廃止案?

年金制度には、およそ3つの起源があると言われています。その一つは、(1)兵士や船員といった危険性の高い職業に就いている人々に対して、政府や会社が、万が一に備えた生活保障を行うというものです。19世紀に至りますと、(2)ビスマルクが、最初に一…

”ようこそ無党派層さん”の政策を

戦後の日本の政治は、利益誘導型の利権政治とも揶揄されてきました。近年に至って、ようやく政策が選挙の争点となってまいりましたものの、まだまだ、その移行過程にあると言えましょう。 ところで、この政策中心の選挙への移行は、表面的な変化にとどまらず…

正直者に冷たい民主党の年金制度改革案?

民主党は、かねてより年金制度の改革案としまして、基礎年金部分を全額国庫負担とする案を主張してきました。しかしながら、この案の実施プロセスについては、党の公約や政策案には何ら詳細が説明されておらず、このままでは、国民は、この案の賛否を決める…

敗戦を克服した日本

昭和20年8月15日、この暑い夏の一日は、日本人にとりまして忘れることのできない特別の日となりました。この日、日本国民は、第二次世界大戦を枢軸国側で戦った日本が、終にポツダム宣言を受け入れ、降伏を決意したことを知ることになったのです。こう…

野党の戦法は”首狩り族”?

選挙の投票日が近づくにつれて、野党は、毎回、ある同じ行動パターンを繰り返しているように思われます。それはどのような行動かと言いますと、政府与党の閣僚の中で、最も弱点を持つ人物を見つけ出し、これに集中攻撃をかける、というものです。辞任にまで…

政党政治の神髄はフェアな競争

連立政権を組んでおります自民党と公明党は、選挙においても協力関係を築いています。お互いの支持団体や支持母体の票を、選挙区と比例代表とで融通し合うというもののようです。しかしながら、この選挙協力は、政党政治が競争秩序のもとにあることを考えま…

NPT体制の命運をかけた闘い

現在、核拡散防止の基本的な枠組みとなっているNPT体制とは、NPT条約が調印された1968年当時、核保有国であった国には核の保有を認める一方で、他の諸国には核の保有を放棄させるという関係の上に成り立っています。一見この関係は、不平等のようでもありま…

ヤヌスの顔を持つ核兵器

日本国は、世界唯一の被爆国であり、無辜の国民の命が一瞬の閃光とともに失われたという悲惨な経験を持ちます。かくも悲しく無残な記憶として、8月のあの日の被爆体験は、日本国民の心に深い傷を残すことになりました。今でも、被爆地を訪れますと、空が、…

講和条約には相互恩赦を

第二次世界大戦から半世紀以上を過ぎた今日にあっても、米下院の慰安婦問題決議や久間前防衛庁長官の発言は、同盟関係にある両国関係をぎくしゃくさせる要因となっています。戦争状態にあって、交戦国が、敵愾心のエスカレートや戦略上の判断から、相互に戦…

本当に非難すべき相手とは

第二次世界大戦を戦った諸国が、過去の歴史問題を非難しあうことが、本当に、後の世に平和と安全をもたらすことになるのでしょうか。本当に心して戦うべき相手とは、過去ではなく現在にあるのではないでしょうか。核兵器の廃絶を訴えるならば、NPT条約を蔑に…