時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

年金の管理運営は民営化できる?

 本日の日経新聞朝刊に、”国民年金と厚生年金の積立金を運営している年金積立金運営機構(GPIF)が、社債投資から国債投資へと運営方針を切り替える”、という記事がありました。理由は、社債市場を歪めるということのようですが、積立年金の運用は、果たして独立行政法人に任せるのが適切であるのかどうか、ここで一度立ち止まって考えてみても無駄ではないと思うのです。

 第一の留意点は、GPIFの国債購入が形を変えた”財政投融資”となり、国や地方自治体の安易な国債発行を助長するのではないか、という恐れです。郵政民営化に際しても議論されましたように、国債の公的な引き受け手の存在が、政府の公債依存体質の改善を阻害してしまうかもしれません。第二に、金融市場のスペシャリストではない公務員による資金運用に対する不安もあります。第三に、制度設計において、積立金の運営のみを、競争入札によって民間金融機関に委託することも可能な選択肢であるということです。

 こうした留意点の他にも、年金加入を国民に義務付けながらも、私的年金への加入を含めた選択制を導入する(公的年金は元本保証・私的年金はリスク付き)、といった方法もあります。いずれにしましても、公的年金制度に関しては、これしかない!とは決めつけずに、様々なアイディアを取り入れながら、より国民の納得できる制度を追求してはどうか、と思うのです。