時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

市場における政府の役割は”監督”ではなく”レフェリー”

最近、国土交通省が、空港の運営について、政府の監督機能を強化する改正案を提出する動きを強めている言います(本日付日経朝刊)。この案によりますと、必要な場合には、国土交通相が、空港会社や航空会社に指導や助言ができるとされていますが、自民党か…

東京都教育委員会は罪深い

新聞報道によりますと、都の教育委員会は、都内の4大学をと連携して教員採用の特別枠を設けると言います(本日付産経朝刊)。この制度、どう考えてみましても、よろしくないと思うのです。 第一に、提携する4大学に対して、行政上の特権を与えることになり…

サミット中印加盟の吉凶

今年7月の洞爺湖サミットを控え、英仏首脳が、サミットのメンバーを中国とインドを含めた新興五カ国を加えた十三カ国に拡大する案を、共同声明として発表したと言います(本日付日経朝刊)。アジア唯一のサミット参加国である日本国の立場からしますと、中…

暫定税率問題の解決案

世論調査によりますと、暫定税率維持に反対とする意見が多数でありながらも、税収の大幅な減少という現実を前に全面的な廃止もまた難しそうのです。それでは、どうしたらよいのでしょうか。 第一の解決案は、地方分のみを残し、国庫分の税率は廃止にするとい…

忘れられた”少年よ、大志を抱け”の精神

NPOのアンケート調査によりますと、「日本を良くするために政府に期待する役割」という問いに対して、「富裕層や大企業の税金を重くし、貧困層や中小企業の税金を軽くする」および「社会的弱者に扶助を与える」という回答が4割を超えたと言います。これは、…

教育は良き国家の基礎

日本国の教育は、日教組の行き過ぎた平等主義と文部省のゆとり教育との挟み撃ちにあって、息も絶え絶えとなってしまったようです。 政治にせよ、経済にせよ、何れの分野にあっても、先ずは、人材の育成こそが大切です。しばしば、国内に人材が不足したならば…

日銀と財務省との癒着人事?

次期日銀総裁の人選をめぐっては、元財務次官であった武藤敏郎氏の名が挙がっており、民主党も候補者としては排除しない方針に転じたようです。この人事で問題となるのは、中央銀行の独立性を損なうこと、ならびに、財政政策と金融政策とでは、全く求められ…

国民の自由を無視した人権擁護法案

人権擁護法案が、憲法21条に保障した表現の自由に違反することは、幾度となく指摘されてきているのですが、政界では、この憲法議論を無視して、法案提出に動き始めている言います。果たして、国民は、国会議員に対して、自らの自由や権利を侵害する法案の…

温暖化ガスを削減せよ、たとえ産業が滅びるとも?

”正義をなさしめよ、たとえ世界が滅びるとも”という有名なフレーズがあります。最近、ガソリンの暫定税率の問題について、地球環境保護を盾に廃止反対が主張されているのを耳にし、つい、このフレーズが頭に浮かんでしまいました。 反対の主張は、ガソリンの…

宗教団体の宣伝塔を起用する政府

政府が広告を作成するに際し、特定の宗教団体=創価学会の宣伝塔を起用する例が、最近、頓に増えたように思います。政府は、すべての国民に対して中立的な立場にあらねばならないことを考えますと、公的機関が、宗教あるいは思想的な偏りを見せることは、大…

マスコミは民主党の米大統領を望む?

アメリカの大統領選挙は来月のスーパーチュースデーを控え、報道合戦もさらに熱気を帯びてきているようです。ところで、我が国のマスコミは、共和党よりも民主党の候補者を大きく取り上げる傾向にありますが、それは、何故なのでしょうか。 民主党の基本的な…

侮れない陰謀論

歴史上の重大事件や現在進行形の政治事件を説明する時、陰謀論を持ち出しますと、とかく一笑に付されがちです。しかしながら、”陰謀なんて絶対に存在しない”と言いきれないことも、この世の哀しさでもあります。少なくとも、幽霊よりも、遙かに陰謀の存在を…

『君が代』拒否と民主主義

教育現場では、国歌斉唱に際して、教師が起立をしなかったり、あるいは、ピアノ伴奏を拒否するといった行動が見られると言います。こうした教師たちの姿を、権力に抗って自らの信念を貫く勇気ある行為として描くドキュメンタリーなども作成されているそうで…

日本国を蝕む”既成事実の支配”

本日の各新聞の朝刊には、宗教団体である創価学会が、公明党に対して政策に関する支持を行ったとする記事が掲載されていました。このことは、明白なる憲法第20条違反に当たるのですが、何故にか、マスコミは何も指摘せず、既成事実が大手を振って歩いてい…

皇室をつかさどるのは伝統と慣習

私的行為とされながらも、伝統的な祭祀こそが、天皇の存在意義であることについては、長らく国民の間の共通認識となってきました。しかしながら、現代という時代にあって、一たび、法律論が展開されるようになりますと、法律に根拠のない行為は、あたかも無…

資源国への輸出拡大作戦

日本国の経済の行方が危ぶまれる中、1億3千万人が、”座して死を待つ”、というわけにはまいりません。衰退を防ぐために、日本国は、外部環境の変化に対応し、日本経済のサバイバル作戦を展開しなくてはならないのです。この大作戦の一環として、先ずは、資源…

女性枠方式は男性に有利?

しばしば、日本国では女性の社会進出が遅れていると指摘されており、その解決策として、諸外国にならって女性枠を設ける案が主張されることがあります。しかしながら、この方式、運営を間違えますと、むしろ、男性有利の制度になってしまうと思うのです。 何…

小麦値上げは政府のため?

農林水産省は、穀物市場における国際価格の値上がりを受けて、今年の4月より、小麦の国内製粉会社への売り渡し価格を30%値上げするそうです(日経朝刊)。この値上げは、昨年10月に続く二度目のようですが、もし、政府が、単純に値上がり分を上乗せし…

市場経済を利用するしたたかな中国

1989年、社会・共産主義国がドミノ倒しのように崩壊した時、主要な経済的要因は、硬直化した計画経済の行き詰りにある、と指摘されてきました。政経一致の共産主義にあっては、経済システムの失敗は、即、政治における体制崩壊をもたらすことになったの…

不景気への連鎖スパイラル

来年度の景気については、どの企業も悲観的な予測を立てているようです。それもそのはず、日本国の経済状況を見渡してみますと、不景気への連鎖スパイラルを起きる要因に満ちあふれているのです。 しかも、このスパイラルには、政府と民間との二つの源流があ…

京都議定書方式が日本国を苦しめる理由

京都議定書方式が必ずしもフェアではないことは、環境派の方々にとりましては、取るに足りないことなのかもしれません。しかしながら、どう見ましても、この方式が、日本国を苦しめることは否定しがたい事実なのです。 第一に、日本国は、アジアで唯一、排出…

夜間補習講座を生かすには

杉並区の教育委員会は、同区立の和田中学校で検討されている夜間補習講座を容認する方針に転換したと言います。これまでの反対理由は、1)成績上位者が対象、2)受講料の負担、3)特定事業者への教室提供であったそうですが、これらの問題は、以下の方法…

宗教的非寛容と国内分裂

政治おいて政教分離の原則が必要となるもう一つの理由は、宗教的な対立が国内分裂をもたらすからです。これは、政治と一体化した宗教あるいは宗派が、他宗教や他宗派を認めない場合に容易に発生します。 特に一神教を奉じてきた諸国では、宗教対立や宗派対立…

イスラム原理主義者への説得

政治と宗教の問題は、それぞれの宗教によって違ってきます。本日は、頑なに民主主義を拒否しているイスラム原理主義者への説得を試みてみたいと思います。 イスラム教徒は、聖典であるコーランにおいて、異教徒との闘いを認めています。キリスト教にあっては…

政治と宗教は両立し難い

政教分離の原則は、日本国憲法にも定められている原則ですが、政治と宗教を分離させたことには、それなりの理由があります。幾つもある理由の中で、本日は、政治と宗教がどうしても両立しない場合があることについて考えてみようと思います。 政治と宗教は、…

自公選挙協力で選択肢を奪われる選挙区

衆議院解散の気配を受けて、現在、各政党とも、各選挙区の候補者選定作業を急いでいるようです。ところで、選挙協力という名の下での政党間の”談合”の結果、有権者の政治的選択の幅が著しく狭められてしまう事態が発生していることは、ゆゆしき事態に思える…

物価上昇局面での増税は致命的

財政再建は誰もが認識している重要課題なのですが、具体的な再建方法となりますと、すぐさま増税論が登場してくることになります。しかしながら、日本国が物価上昇局面にあることを配慮しますと、増税は、日本経済の痛手となるかもしれないのです。 市場経済…

政党という存在の不思議

誰もが、政党とは政治につきものであって、特に現代国家では、複数の政党の存在こそが、民主主義の証と考えています。ところが、この政党という存在、よく考えてみますと、いくつかの点で、不可思議な点があるのです。 たとえば、第一に、政党発祥の地はイギ…

新たな政治システムの初夢

国民が複数の政党の中から選択を行うことができる多党制は、民主主義を具体化する重要な仕組みです。しかしながら、現行の制度では、国民は、内政から外政に至るまでの全ての政策領域を、政党のマニフェストの中から一括して選択するしかありません。つまり…

政治は時代とともに歩むもの

今年もまた、昨年に引き続き、日本国においても、様々な分野に変化の波が押し寄せてきそうです。政治の世界もまた、こうした変化を免れることはできないことでしょう。 そもそも、政治とは時代とともに歩むものです。その時代その時代におきまして、抱える課…