時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

新たな政治システムの初夢

 国民が複数の政党の中から選択を行うことができる多党制は、民主主義を具体化する重要な仕組みです。しかしながら、現行の制度では、国民は、内政から外政に至るまでの全ての政策領域を、政党のマニフェストの中から一括して選択するしかありません。つまり、ア・ラカルトに政策を選択することができないのです。

 この一括選択の欠点を緩和するためには、政党システムから全く別のシステムに移行するか、あるいは、現行の多党制のシステムを修正するということが考えられます。例えば、別のシステムとしては、

1)政策領域ごとに政党ではなく、政策を掲げて立候補した政策責任者(閣僚)を選出し、政府(内閣)は、選出された政策責任者によって構成する。

多党制を修正するならば、

 2)個人ではなく、政策領域ごとに政党を選択し、最も多くの票を集めた政党から政策責任者が指名する。この場合、結果的には、政府は、常に連立政権となる。

 ただし、政党への所属を要件としますと、無所属の人が立候補できなくなりますので、1)と2)を組み合わせた方がよいのかもしれません。

 このシステムで問題となるのは、首相の選出と議会との関係です。首相は、大統領のように、主に対外関係に関する政策領域を担当する政策責任者として公選し、対外的な権限の他に、独立行政機関の長の指名権などを与え、付与する権限を限定化することで上記のシステムと整合性を保たせることができます。一方、議会との関係については、独自の法案提出権と政府に対する牽制権は維持せねばなりません。そこで、政府提出の政策案に対しては、議会は、過半数、あるいは、加重多数決で拒否できるようにし、一方、議会発案の法案については、政策責任者が拒否した場合、再可決、あるいは、加重多数決での再可決を要するとします。そうして、機能不全を防ぐために、政策領域ごとに、政府と議会とで優先権を予め決めておきます。

 このシステムは、初夢なのかもしれませんが、今年は、新たな政治システムの可能性についても考えてみようと思うのです。