時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

民主党政権の産業政策は日本経済の下請化?

最近の政府が打ち出している政策から推測しますと、もしかしますと、民主党政権は、日本国の経済全体を下請化しようとしているのではないかと疑ってしまうのです。 中小企業に対しては、法人税の引き下げを約束しながら、大企業に対しては、製造業の派遣禁止…

マニフェストが”国民との契約”では困る

鳩山首相は、マニフェストは”国民との契約”と理解されているようです。しかしながら、マニフェストと契約とは、同じ種類のものではないように思えるのです。 ”契約は守られなければならない”とする格言が示すように、契約を結んだ限りは、当事者は、それを履…

民主党の内需拡大は第二の鎖国?

民主党政権の経済政策の基本路線とは、内需拡大と生活重視とのことです。しかしながら、国民の多くは、この政策によって、日本国の経済が回復するとは信じていないのではないでしょうか。 内需拡大の具体的な内容とは、輸出志向をやめて国内産業や消費を増や…

子供手当は公平で持続性があるのか?

公的年金制度については、誰もが退職後の生活を心配しますので、制度設計や改革案については、受益と負担の関係や世代間の公平性の観点から、うるさく議論するものです。ところが、子供手当については、一人当たり定額と割り切っており、誰も、制度の公平性…

民主党政権は弱者の恫喝に立ち向かえるのか

本日の朝刊に掲載されておりました所信表明演説を読みますと、鳩山首相は、”友愛政治”の方針のもとで、弱い立場にある人々や少数の人々の視点が尊重されるべきことを、国民に伝えたかったようです。もちろん、弱者救済は政府の大事な仕事の一つではあります…

国会中継はNHKの義務では?

ようやく、本日、国会が召集され、民主党内閣による独走態勢に歯止めがかかりそうですが、NHKの国会中継が縮小されるという情報は、事実なのでしょうか?もし、事実であるとしますと、民主党は、国民の前から政治を隠そうとしていることになります。この行為…

普天間基地移設問題―国会での議論を

鳩山首相は、普天間基地の移設問題について、民主党のマニフェストと沖縄県民の意向を重視して、最終的な判断は、首相自身でなさると発言されたと伝わります。どうしたことか、このプロセスには、アメリカとの合意や国会での審議が抜けているのです。このこ…

民主党政権は”脱官僚”ではなく”脱国会”?

”脱官僚の政治”という言葉からは、政治的意思や政策決定の場が、官僚組織から国会に移るというイメージがあります。しかしながら、政権発足以来の民主党の方向性を見てみますと、どうやら政治家が、国会からこぞって官僚組織に”お引越し”をすることを意味し…

中国海軍艦隊の江田島基地訪問の意図は?

本日のニュースによりますと、今月に入って中国側から”親善”を目的とた中国海軍艦隊の江田島と呉の自衛隊基地の訪問の打診があり、防衛庁は、この要請に応じて受け入れを表明したと言います。果たして、中国の目的は、”親善”のみなのでしょうか? 日中間の艦…

日本郵政は国債引き受け機関に?

国民多数の支持を受けて郵政民営化がおこなわれましたが、民主党政権の成立とともに、民営化は公営化の方向に逆戻りしそうです。もしかしますと、新たな日本郵政は、最大の国債引き受け機関になるのではないでしょうか。 財政投融資が放漫財政をもたらすとの…

もし邦銀が50兆円の国債引き受けを拒んだら?

来年度予算では、政府は、ついに50兆円もの赤字国債の発行を容認するそうです。巨額の赤字国債は、邦銀が引き受けることを前提としているようですが、もし、国債引き受けを拒んだり、引き受けられない状況に至った場合には、政府は、どのように対処するつ…

日本国政府は分配マシーンと化すのか?

報じられるところによりますと、2006年の日本国の貧困率は15.7%に上昇し、七人に一人が低所得の状態にあるそうです。景気後退が厳しさを増している今年のデータともなりますと、さらにこの率は上がりそうです。 貧困化を示すデータに対して、長妻厚生労働相…

日本国はテーマパークになるのか

観光立国を目指して、前原国交相は、中国人の個人旅行の年収制限などを緩和する方針を示したそうです。観光産業が、将来性のある産業であることは認めるところなのですが、日本国が、外国人観光客向けに演出された”テーマパーク”にならないよう注意すべきと…

最大の予算削減策は民間雇用の創出

来年度予算の概算要求額が95兆円にも上ることに対する非難を受けて、仙石氏は、92兆円程度に抑えるべしとの発言をされているようです。ところで、財政問題は、民間の雇用が増えなければ解決しないのではないかと思うのです。 そもそも、国民の一人一人に…

技術開発予算削減で競争力を失う日本国

平成21年度の補正予算見直し事業によって、文部科学省の最先端研究開発支援プログラムに付けられていた1200億円の予算も執行停止になるそうです。長期的な技術力の育成は、将来の日本国を支える基盤であることを考えますと、この予算が、”むだ”と判断…

マニフェストの何を削るのかの議論を

民主党のマニフェストに掲げた政策を全て実施するとしますと、来年度予算の規模は、90兆円を超えると報じられています。このままゆきますと、赤字国債の発行は不可避となるそうですが、ここは26日から開かれる予定の国会の場で、何を削るのかを議論して…

アフガニスタンは見捨てられるのか

民主党政権がインド洋での給油活動から撤退することを決めたことに加えて、アメリカでも、オバマ大統領は、アフガニスタンへの増派には否定的な見解を示していると伝わります。アフガニスタンの将来には、暗雲が立ち込めており、タリバン政権復活の悪夢も脳…

インド洋給油活動の撤退―日本国の分水嶺なら

民主党政権は、インド洋給油活動からの撤退を決めたと報じられています。もしかしますと、この決定は、日本国の運命を分ける分水嶺となるとも限らず、然したる議論もなく決定することは、将来に禍根を残すのではないかと思うのです。 (1)マニフェストに掲…

自民党は臨時国会に向けて準備を

先ほどは、臨時国会の開催について記事を書きましたが、9月16日に開かれた特別国会が憲法にいう衆議院後に召集される国会であったようです。誤った記事を掲載しまして、心よりお詫び申し上げます。 ところで、9月の特別国会では、首相の選出が主なお仕事…

扶養控除の廃止―失業のバッファーとしての家族

子供手当ては配偶者控除と扶養控除の廃止とセットになっており、まずは、扶養控除が先行して廃止されることが検討されているそうです。廃止の理由は、子供手当てが支給される上に、子供の扶養を控除する必要はないと説明されていますが、家族の扶養が失業の…

千葉法務大臣の行為は裁量権の逸脱

千葉法務大臣が、中国残留孤児の親族と偽って入国した中国人姉妹の特別残留資格を出したことが、権力濫用か否か、議論となっているようです。この件については、「入国管理及び難民認定法」の第50条に、法務大臣の裁量を認める一文があることから、問題な…

マニフェスト方式からのステップ・アップを

そもそも、マニフェストを掲げて選挙に臨むという方法が導入された理由は、単に候補者を選ぶという方式では、”白紙委任”となるという欠点があったからです。各政党の基本方針がマニフェストに示されることで、国民は、自らの信条に照らし、好ましい政策を掲…

橋下知事―忍耐も政治家の資質

自分の意見に反論されることは、誰もが、不愉快なものです。その上、その批判者が部下ともなれば、頭に血が上るのも理解できます。しかしながら、政治家である限り、橋下知事には耐えていただきたかったと思うのです。 得てして、他者の意見に聞く耳を持たな…

東アジア共同体―誰がメンバーシップを決めるのか?

岡田外務大臣は、東アジア共同体構想に関連して、アメリカを排除する旨の発言を行ったと報じられています。この問題、実のところ、日本国にメンバーシップを決める権限があるのか、ということから議論しなければならないと思うのです。 地域共同体の先例とし…

赤字国債かマニフェストの見直しか

選挙に際しては、赤字国債は発行しない、と断じながら、民主党政権内部では、赤字国債の発行を容認する発言があったようです。もし、最大限に”むだ”を削減しても、マニフェストに記載した政策の財源が得られないのであるならば、マニフェスト自体の見直しも…

公共事業の中止は国会で議論を

時代に合わない大規模公共事業として、群馬県の八ッ場ダムや熊本県の川辺ダムの名が挙がり、住民を巻き込む形で建設中止の是非が騒動となっているようです。こうした利害関係が交錯する問題こそ、国会において、国民の前で審議すべきなのではないでしょうか…

子供手当は景気浮上策にならない?

民主党政権が掲げている子供手当は、家計の支出を増やす景気浮上策とも説明されています。しかしながら、いくつかの点から、景気浮上の効果は限られていると推測されるのです。 (1)所得移転政策であること 子供手当の財源は、配偶者や扶養者控除の廃止と…

中川昭一元財務・金融相の逝去を悼んで

中川昭一元財務・金融相が突然亡くなられたというニュースは、国民に驚きと悲しみをもって迎えられました。ローマでの泥酔会見事件の報道や衆議院選挙での落選が、心理的な負担になったことは想像に難くありません。 ところで、警視庁の発表によりますと、中…

オリンピック―勝算のある立候補を

東京オリンピックの誘致失敗のニュースを受け、国内では落選を惜しむ声が聞かれる一方で、予測の範囲として冷静に受け止める人々もいるようです。何れにしても、オリンピック誘致には、莫大な予算を要することを考えますと、無理な立候補は、財政の無駄にな…

中国という軍事大国と向き合う日本

昨日、建国60周年を記念して、中国の首都北京では、人民解放軍による軍事パレードが催されたようです。一糸乱れぬ兵士達の行進は、ソ連邦や北朝鮮を彷彿とさせたのですが、この光景は、日本国に対して、軍事大国化した中国と向き合わねばならない現実をつ…