時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

普天間基地移設問題―国会での議論を

 鳩山首相は、普天間基地の移設問題について、民主党マニフェスト沖縄県民の意向を重視して、最終的な判断は、首相自身でなさると発言されたと伝わります。どうしたことか、このプロセスには、アメリカとの合意や国会での審議が抜けているのです。このことは、日本国の存亡にかかわる重大な事柄を、政党と地方自治体だけで決めると述べたに等しくなります。

 基地の問題は、沖縄県民のみならず、日本国と日本国民全員に関わることですから、長期的な視点に立って、野党を始め、様々な人々の意見を聞いたうえで決定するのが、憲政の道理のように思われます。日本国憲法は、国会を国権の最高機関と位置付けておりますし、内閣の職務は、「外交関係を処理すること」とあり、内閣総理大臣に安全保障政策の全権限が一任されているわけではありません。県外移設ともなれば、アメリカとの合意内容を反故にするこになるのですから、国際社会における日本国の信頼性をも損なうことになります。国内問題に留まらず、対外関係に変化をもたらす問題は、通常の政策決定以上に慎重さを要するものです。首相が、国会にも諮らずに国政上の重大事項を決定するとなりますと、日本国は、独裁国家に近づいてしまったことになるのではないでしょうか。

 温暖化ガスの25%削減については国際公約を強調し、八場ダムの建設中止問題では地元の意見を聞こうとはしなかったにも拘わらず、基地移設問題だけ、国際的な合意を軽視し、地元の意見を尊重する態度は一貫性に欠けますし、ご都合主義にも見えます。国会で議論することなく首相の一存で安全保障政策を決定するとしますと、将来に禍根を残すことになると思うのです。

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