時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

国籍法改正案賛成論への反論

国籍法改正案に対する賛成論は、法の下の平等=嫡出子と婚外子の平等=日本人と外国人の平等という構図に依拠しています。全体からこの部分だけを切り取りますと、本法案は、”改正”と見えるかもしれません。しかしながら、一面だけ、あるいは、一部の立場の…

国籍法改正案―付帯決議では解決しない

多くの反対意見が寄せられている国籍法改正案は、採決が先延ばしにされたものの、新たな付帯決議を追加して、12月3日には可決するとの見通しが報じられています。しかしながら、付帯決議の内容を見ますと、どう考えても国民の不安は払拭できないと思うので…

国籍法改正案―DNA鑑定・親権・日本での教育を

参議院で審議されている国籍法改正案については、DNA鑑定の義務化が議論されております。この議論には、”国民”とはいったい誰なのか、という重大な問題も潜んでおります。そこで、国民を識別する基準を大凡挙げてみると、以下のようになります。 1.日本人…

国籍法改正案―悪を助長する法は悪法

参議院での採決が先延ばしになり、付帯決議が付されることにはなったものの、国籍法改正案に対する不安は拭いきれません。何故ならば、この法案は、善から悪を引き出すという側面があるからです。 表面的な理由は、現在の国籍法によって不利益を受ける外国人…

国籍法問題に見る民主主義の危機

もし、国籍法改正案が、大々的にマスメディアを通じて国民に知らされたとしたならば、どのような反応が起きるでしょうか。民主主義国家でありながら、国民が知らないうちに重要法案が通るとなりますと、これは、我が国の民主主義の危機となります。 民主主義…

国籍法改正を急いではいけない理由

国籍法改正案に対する国民の不安の声が高まりを受けて、法務省では、親子関係の確認を厳格化する方針と伝えられています。しかしながら、やはり、この法改正は、あらゆる角度から見ても、拙速であると思うのです。 マスメディアが大きく取り上げないこともあ…

日本国の国益を損なう国籍法改悪

既に、多くの方々から欠陥法案であることが指摘されてきた国籍法案ですが、具体的に、どのような日本国の国益の損失が考えられるのでしょうか。 1.内政干渉・安全保障の危機 先日、中国において、何を意図してか、日本における日本人と中国人との婚姻数の…

国籍法の改悪は内側から鍵を外す行為

古今東西を問わず、国家滅亡のお話には、敵方と通じて、内側から城門の鍵を外す”裏切り者”が登場するものです。遠の昔に起きた事柄など現在には関係ない、と思われるかもしれませんが、案外、こうした逸話には、後世に伝えるべき教訓が含まれているものです。…

国籍法と家族法の境界を壊した最高裁判所

国籍法改正案には、認知ビジネスの懸念を始め、様々な問題点がありますが、そもそもこの問題の根源には、最高裁判所が、国籍法と家族法(民法、戸籍法…)の役割の違いを識別していなかったことが挙げられるのではないでしょうか。 国籍法とは、国民の枠組み…

国籍法改正案―婚外子問題と外国人差別の混乱

国籍法改正案の根拠となった最高裁判所の判決は、嫡出子と婚外子との平等化を理由として、違憲の判断を示しました。しかしながら、どうやら、この判決には、婚外子差別と外国人差別との混乱があるようなのです。 1. そもそも、日本国の民法では、婚外子は…

福祉国家の国籍は価値が高い

働くことなく月々十数万円の収入を得ようとすれば、今日のような低金利時代にあっては、相当額の預金や有価証券を保有していなくてはなりません。医療費などの突然の出費への備えも合わせますと、かなりのお金持ちでなくては、月十数万円といった所得を得る…

国籍法改正案と認知の問題点

国籍法改正案が、まだまだ議論を要する問題であることは、認知の制度からも指摘することができます。それは、DNA鑑定の要件化に関わる問題でもあり、また、親子とは何か、という根本的な問題にも関わります。 本問題が持ち上がってから、認知について、”意思…

暴走する最高裁判所

本日衆議院で可決された国籍法改正案については、最高裁判所の違憲判決を前提とした立法という意味において、極めて異例な立法であったと言えます。そもそも最高裁判所には立法請求権があるのか、という問題についての議論が抜け落ちており、釈然としない部…

国籍法改正案で生じる国籍と戸籍の分離問題

現在、国会に提出されております国籍法改正案は数々の問題点を含むものですが、さらに国籍と戸籍との関係からも、問題点を指摘しておきたいと思います。それは、国籍と戸籍が分離してしまう、という問題です。 日本国では、重婚は禁じられており、法律上の婚…

外国も悪用できる国籍法改正案

昨日の記事では、個人が国籍法の改正を悪用する危険性について述べました。もう一つ、危険性があるとしますと、それは、外国政府による組織的な悪用です。 国籍法改正案では、母親である外国人女性の国籍は、全く問われていません。母親が、どこの国の国民で…

個人が国家を悪用できる国籍法改正案

最高裁の違憲判決を受ける形で国会に提出されている国籍法改正法案は、国家と国民の関係について、極めて重要な問題を提起していると思うのです。それは、一個人であっても、国家を悪用することができるからです。 普段の日常生活を送っている限りでは、誰も…

国籍法改正には国民投票が必要では?

現在、日本国では、憲法改正以外では、国民投票という方法を用いることができません。しかしながら、国籍法改正など、マニフェストに記載がなく、かつ、国民の中に反対の多い法案については、国民投票制度の導入を待ってからでも遅くはないと思うのです。 近…

創価学会の総体革命こそクーデタ計画では?

田母神前航空幕僚長の論文について、政府は、与野党とも文民統制の名のもとで、政府見解と自衛官の”歴史認識”の一致の強化を図るようです。ところで、文民統制は、軍事クーデタを防止するために設けられている制度ではありますが、クーデタとは、軍隊だけが…

定額給付金は無理では?

2兆円もの予算をつぎ込んで実施されるという定額給付金政策は、実現可能なのでしょうか。もしかしますと、物理的に無理なのではないか、と思うのです。 政府の方針としては、1800万円以上の高額所得者には辞退を促すとう方法で、ばらまきの批判をかわす…

田母神前航空幕僚長批判の不思議

田母神前航空幕僚長が執筆した論文をめぐり、政治家とマスコミは、こぞって非難の大合唱を繰り広げているようです。しかしながら、この批判によって、メリットを得る国はあるのでしょうか。 日中戦争の相手国であった中国を見てみますと、日本国に対する”侵…

外部組織による国家乗っ取りの害

田母神前航空幕僚長の更迭事件は、公務員が民間において私見を公表することが問題とされました。それでは、この反対パターンは許されるのでしょうか。反対パターンとは、外部の民間の組織が、行政機関にメンバーを送り込み、そこで、その組織のための活動を…

国籍法改正は慎重に

最高裁判所の違憲判決を受けて、政府は、国籍法の改正案を国会に提出したそうです。最高裁判所の違憲判決自体が、司法による立法への介入であり、権力分立に違反すると考えられるのですが、それ以外にも、この法案にはさまざまな問題点がありそうです。 改正…

侵略の断定は難しい

田母神前航空幕僚長の論文は、先の大戦は、日本国の侵略戦争であったのか、という重大な問題を提起しました。村山談話において、侵略戦争であったとする見解が示されたため、政府見解との不一致が咎められたのですが、この問題を検証するに当たっては、少な…

政府見解は国民の合意の上で

田母神論文に端を発して、麻生首相は、シビリアン・コントロールの徹底を図る旨の発言をされたようです。既に、日本国憲法下にあって、軍人が閣僚となることが禁じられ、制度上においてはシビリアン・コントロールが既に成立しているのですが、それ以上の強…

外務省の創価組織の方が危険では

田母神前航空幕僚長は、執筆した論文が従来の政府見解に異なることを理由に、その職を追われることになりました。浜田防衛大臣や公明党は、多くの自衛官の方が投稿していたことを受けて、自衛隊の再教育が必要とまで言い切っています。 ところで、創価学会は…

アメリカの国家統合は大統領の人格にある?

建国以来、世界各国から移民を受け入れてきたアメリカでは、白人系、アフリカ系、ヒスパニック系、ユダヤ系、アジア系など、多様な人種や民族が混住しており、国家を統合するには人一倍の苦労がいります。本日、アフリカ系初の大統領として、バラク・オバマ…

自衛隊の危機感を国民は知るべき

田母神前空自幕僚長が更迭されることとなった懸賞論文に、50人以上の自衛官が応募したと言います。この数の多さに驚くのですが、もしかしますと、国防について最も多く情報を知り得る自衛隊の方々の、危機感と焦燥の現われてはないか、とも思うのです。 政…

日本国政府はチベット占領を”侵略”と認定すべき

政府は、田母神元空自幕僚長を政府の公式見解と異なる論文を書いたとして更迭しました。村山談話では、先の戦争を”侵略戦争”と認定しておりますので、”侵略戦争”とは言えない、という田母神氏の主張が問題視されたのです。 田母神氏が”侵略戦争”ではないこと…

歴史認識を示す政府見解とは何なのか?

田母神元空自幕僚長の更迭を受けて、民主党の鳩山氏は、政府および防衛庁に対して、今後とも厳しい追及を行うと息巻いているようです。それでは、民主党が政府に絶対に守るべきと詰め寄った政府見解とは、一体、何なのでしょうか。 首相や内閣官房長官の談話…

田母神論文は反証できるのか

論理学では、ある説が正しいかどうかを確かめる方法として、反証、つまり、それが事実に反することを示す証拠をあげる、という方法があります。もし、反証することができない場合には、一先ずは、その説は、正しいと見做されます。それでは、田母神論文は、…