時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国籍法改正案―DNA鑑定・親権・日本での教育を

 参議院で審議されている国籍法改正案については、DNA鑑定の義務化が議論されております。この議論には、”国民”とはいったい誰なのか、という重大な問題も潜んでおります。そこで、国民を識別する基準を大凡挙げてみると、以下のようになります。

1.日本人の血統を継承している人。これは、DNA鑑定で確認することができます。しかしながら、血統だけでは、日本語も分からず、日本の歴史や伝統、あるいは、慣習や生活習慣も知らない人も日本人となってしまい、日本国の一員という意識がもてないかもしれません。

2.日本人の家庭で育った人。父親、あるいは、母親であれ、日本人と同居している場合には、日本語が分からないといった問題はなくなります。また、家庭教育を通して、日本国や日本社会についての知識を得ることもできます。

3.日本国と運命を共にする人。国籍を持つということは、万が一、有事となった場合には、日本国および日本国民と運命を共にすることを意味しています。日本国の一員としての自覚は、学校教育などを通して日本国の成り立ちや制度について学び、国民としての権利や義務を知るところからはじまります。この側面を考えますと、日本国において教育を受けていることも重要な要素となります。

 これらの基準はたたき台に過ぎませんが、国籍付与の条件として、DNA鑑定、日本人の親の親権、日本での教育などが、判断基準のポイントになるのではないか、と思うのです。国籍法改正案には、まだまだ議論せねばならぬ点が多くあり、そう簡単には国民の合意が形成できるものでもありません。本法案は、充分な議論がなされているわけではありませんので、今国会での成立は、見送るべきと思うのです。

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