時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国籍法改正案―付帯決議では解決しない

 多くの反対意見が寄せられている国籍法改正案は、採決が先延ばしにされたものの、新たな付帯決議を追加して、12月3日には可決するとの見通しが報じられています。しかしながら、付帯決議の内容を見ますと、どう考えても国民の不安は払拭できないと思うのです。

1.国外の居住している者に対しても本法案の趣旨について周知徹底に努める。

 子が国外に居住しているということは、日本語や日本の生活習慣を知らない可能性が高く、法律上の日本国籍を与えられても、日本において、支障なく社会生活を送り、また、政治的な権利や義務を果たせるかどうか、疑問となります。

2.出入国記録など調査を強化し、また、DNA鑑定の導入については、検討課題とする。

 公法(国籍法)と私法(民法、戸籍法・・・)は性質が違いますので、血統主義を採る我が国の国籍法においてDNA鑑定を導入しても、問題はないと思います(民法上の認知の意思主義は否定)。諸外国でも、犯罪防止のためにDNA鑑定が導入されており、外国人差別でもありません。DNA鑑定を義務付けないままで本法案を通すことは危険です。

3.各国の情報収集体制を構築し、ブローカーなどの組織犯罪の取り締まりと制裁を強化する。

 20万円とされている法案における罰則の額を上げない限り、制裁の効力は十分ではないと思われます。また、具体的な犯罪取り締まりの方法の提示や予算などへの言及もなく、空文化する可能性があります。

4.重国籍については、諸外国の動向を見ながら検討課題とする。

 重国籍については、安全保障上の懸念や内政干渉、あるいは、国民の義務と権利の重複などについて、まだまだ議論すべき問題がたくさんあります。国民の同意なき国会の先走りは大いに問題です。

5.半年ごとに国会に報告する。

 現在、国会議員の中には、「1000万人移民計画」を主張している人もおり、基準が曖昧です。もしかしますと、100万人でも全く問題視されない可能性もあるのです。

 本法案の付帯決議を見ましても、まだまだ問題点が多く、行政の窓口で際限なく手加減が加えられる裁量行政がまかり通るかもしれません。本法案は本国会では廃案とし、国民の多くが納得するよう、仕切り直しをすべきと思うのです。 

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