時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2022-01-01から1年間の記事一覧

‘世界は一つ’という認識の歴史的形成過程(その6):地球球体説は天動説と結びついている

古代ギリシャのピタゴラス学派の数学者・天文学者によって学術的・科学的に確かめられることとなった地球球体説the sphericity of the Earthは、太陽中心説Heliocentrism(地動説)と不可分の説でありますが、天動説geocentric modelとも結びつき、ローマ帝…

‘世界は一つ’という認識の歴史的形成過程(その5):ピタゴラスの‘世界は一つ’思想

アレキサンダー大王は、ピタゴラス学派の唱える地動説Heliocentrismを信じ、地政学的思考geo-political thinkingを以って世界の面的な支配、すなわち領域的支配を目指して大遠征に出発したと推測できることは、昨日述べました。今日でも、「世界帝国」という…

‘世界は一つ’という認識の歴史的形成過程(その4):アレキサンダー大王は地動説を信じた?

昨日、本ブログにて「古代ギリシャ人は、ペロポネソス半島、エーゲ海に浮かぶ諸島、アナトリアなどに小さな都市国家ポリスを建てて分散して居住しており、たとえ植民国家を進出地につくろうとも、面的な繋がりを持つ全領域的支配への関心は薄かったと考える…

‘世界は一つ’という認識の歴史的形成過程(その3):フェニキア人の世界進出は世界支配思想とは結びつかなかった

地政学は、地球の球面全体(地表、スフイア、sphere)における自らの勢力範囲の如何を考えるための学問分野であることから、「古代ギリシャのピタゴラス学派による地動説Heliocentrism(地球球体説)の学術的発見、そして、フェニキア人の海洋進出は、地政学…

‘世界は一つ’という認識の歴史的形成過程(その2):紀元前に第一次大航海時代はあった?

地球は、球体であり太陽のまわりを回っている、すなわち公転しているという地動説Heliocentrismは、遅くとも紀元前4世紀には、古代ギリシャにおいて学術的に発見されており、ギリシャ・ローマ時代には、いわば「天文学上の常識」となっていたことは、昨日述…

‘世界は一つ’という認識の問題:‘世界は一つ’という認識の歴史的形成過程(その1)

地政学的思考geo-political thinkingは、地球規模で物事を考える思考ですので、この思考は、‘世界を一つ’という認識を基盤としています。このことは、‘世界は一つ’という意識の重要性を示しているのですが、それでは、人類史上、‘世界は一つ’とする認識・意…

国際秘密結社が地政学的思考geo-political thinkingを持っていたら?

地政学的思考geo-political thinkingが、共産主義者に加えてイルミナティ―などの国際秘密結社の思考であった場合には、世界各地に紛争の絶えない不安定な世界となる可能性があります。 その理由は、地政学が、地球の球面全体(地表、スフイア、sphere)にお…

共産主義が採用した地政学的思考geo-political thinking

国際関係(諸国家間の関係)を、地理的条件や当事国のパワーとの関係から考える地政学的思考geo-political thinkingには、以下の特徴があることは昨日述べました。 地理的利益、航路や交通がもたらす経済的利益(経済的合理性・経済規模の拡大)、覇権などの…

地政学的思考geo-political thinkingと歴政学historo-political thinkingの相克

国際関係(諸国家間の関係)を、地理的条件や当事国のパワーとの関係から考える地政学的思考geo-political thinkingと、歴史的諸要素から考える歴政学的思考historo-political thinkingには、以下のような違いがあります。 地政学的思考は、地理的利益、航路…

ウクライナ紛争に見る歴政学historo-politics的視点の重要性

国際紛争の原因を論じるにあたりましては、地理的条件と紛争当事国のパワーとの関係を扱う地政学geo-politicsという視点に加えて、歴政学historo-politicsという視点も重要なのではないでしょうか。 歴政学(ヒストロ・ポリティークhistoro-politics)という…