時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

アメリカ政府への抗議は日本国政府の義務

自分が所有する土地にも拘わらず、別の人の所有であるとする記載を見つけても、何らの抗議もしなければ、訂正さえ求めない、ということは、一般社会においてさえあり得ないことです。それは、一つ間違えますと、所有権を失うことになるからです(時効の成立…

日本国政府は迷惑政府か

最近、自分の権利ばかりを主張して、責任を果たそうとしない”迷惑○○”が、世間では数多く見受けられます。一方、日本国政府の昨今の様子を見てみますと、この”迷惑○○”に通じるものを感じざるを得ないのです。 それは、国際社会に対しては、国際協調を唱えて国…

トルコに倣って公明党解党の訴えを

トルコでは、与党の公正発展党(AKP)が、憲法に定めた政教分離を侵害しているとして、憲法裁判所に訴えられていると言います(本日付産経新聞朝刊)。検察側の主張が認められれば、公正発展党は、解党されることになるのですが、同様の訴訟事件は、現在の日…

移民労働者受入論の落とし穴

批難の声が高い移民受入論ですが、社会的な摩擦の問題の他に、移民労働者受け入れ論には、重大な見込み違いがあると思うのです。それは、予測に反して、人材が集まらないという問題です。 もちろん、移民労働者であるからこそ、厳しい労働にも耐えてくれる、…

教育破壊に無自覚な教育者

教員採用試験に関連して、汚職の罪で起訴されている校長や教頭が、インタヴィーに応えて”家庭がむちゃくちゃになった”と語ったことが報じられています。この発言から分かることは、自分自身が、”教育をむちゃくちゃにした”という自覚がないことです。 汚職行…

プーチン首相はソ連型思考から脱却を

本日、ロシアのプーチン首相が、不正疑惑のある石炭大手会社の社長を、”医者を送り込んで始末せざるをえない”と発言し、物議を醸しているようです。なぜならば、”始末”とは、旧ソ連邦では、”皆殺”とか、”暗殺”の隠語であるらしいのです。 この発言が災いして…

日本国の難民政策の不思議

日本国は、難民の受け入れが少ないとの国際批判を浴び、「第三国定住」なる方式を導入する方向で検討を進めていると言います。しかしながら、日本国の難民政策については、いくつかの点で考えなくてはならない点があるようなのです。 第一に、日本国の難民受…

精神鑑定の功罪

罪を犯した人に刑罰を科すためには、その人に責任能力が備わっていなくてはなりません。つまり、犯人の自己コントロール能力の程度を測るために、裁判に先立って、精神鑑定が行われることになるのです。しかしながら、この制度、どこか奇妙な制度にも思える…

韓国の対馬領有の主張は侵略宣言?

『魏志倭人伝』の時代より、対馬には日本人(古代では倭人)が居住してきたことは、紛れもない歴史的な事実です。それにも拘わらず、高麗や李朝時代に対馬に侵攻したことと、対馬と李朝との通商関係を盾にして、韓国が対馬の領有権を主張するとなりますと、…

満州はパンドラの箱?

本日、ロシアと中国との間で、大ウスリー島などの国境線を画定する合意文書が署名されたとする報道が伝えられました。北方領土や竹島など、領土問題に関する話題が注目を集める中、この合意は、中国の複雑で不安的な領土拡張の歴史の一端を覗かせている、と…

教員組織が道徳に反対する理由

大分県で発生した教員採用試験の汚職事件については、組織的な犯罪と報じられながら、一体、何の組織がどのように関わったのか、その詳細は伝わってきません。”県ぐるみ”、ということなのかもしれませんが、汚職事件の組織的な背景を明らかにすることこそ、…

江戸時代の日・朝関係から見る竹島

韓国における竹島騒動は未だ冷めやらず、日に日に過激さを増しているようです。しかしながら、韓国が主張するように、”歴史的”にも、韓国の竹島領有は、疑いのないことなのでしょうか。 日本国の江戸幕府と李氏朝鮮との関係を見てみますと、韓国の言い分には…

韓国の対馬領有の主張は自己否定

竹島問題の教科書解説書への記述をめぐり、韓国では、対馬まで韓国領であるとする主張が声高に唱えられていると言います。しかしながら、この主張、どう考えましても、自己矛盾に満ちていると思うのです。 何故ならば、韓国側の領有権の主張とは、対馬が倭寇…

自己浄化できない社会は堕落する

しばしば、どんな悪事であっても、”昔からしてきたことだ!”とか、”大人の社会では常識だ!”と言い張って、うそぶく人々がいます。こうした自己弁護する人々は、果たして、社会に責任を持つはずの本物の”大人”なのでしょうか。 大分県の教員採用汚職は、組織…

北京オリンピック―国民の感情は正直―

8月の北京オリンピックを控え、旅行各社が、オリンピック・ツアーの売り出しを始めたところ、期待していたほどには参加者が集まらず、ツアー料金の大幅な値下げに踏み切る業者も現れたそうです。毒入り餃子事件、中国のチベットへ弾圧、長野の聖火リレー、…

ゆるキャラvs.毒キャラ

昨晩のNHKのクローズアップ現代では、地域の町興しなどに活躍している”ゆるキャラ”をテーマとして取り上げていました。メイン・テーマは、確かに”ゆるキャラ”なのでしょうが、どうやら、隠れたテーマは、”毒キャラ”であったのではないか、と思うのです。 ”ゆ…

神経科学が自己中心主義を擁護する?

近年、自己の権利ばかりを主張する”モンスター”の部類や、カルト宗教に洗脳された全体主義集団の跋扈など、すっかり魑魅魍魎が徘徊するご時世となりました。現代という時代にありながら、まさに、百鬼夜行の如くなのですが、この現象、意外や意外、学問の世…

竹島の教科書解説には国際司法裁判所の記述を

領土問題において、法的に領有権を主張できる側が、自らその権利を守ろうとしない態度をとりますと、それは、権利の放棄と見做されかねないことになります。そこで、教科書の解説書における竹島問題の記述について、特に注意を払うべき点は、間違っても、日…

不完全な核査察―日本国のカードはNPT改正―

北朝鮮の核放棄に向けた交渉は、一先ずは、IAEAが関与する核査察で合意に至ったようです。しかしながら、これで安心、という状態からはほど遠く、すでに北朝鮮は、軍施設への立ち入り禁止など、条件闘争を始めているようです。 核兵器を貯蔵する場所は、兵器…

外交に暴力団の論理とは論外

相手国が、自国に対して国際犯罪を働いた場合、相手国との約束を守る義務はあるのでしょうか?この質問に対する答えは、”否” です。 法は、犯罪から生じた犯罪者の権利は守らなくてもよいとしています。北朝鮮の拉致事件に照らしてみますと、拉致行為そのも…

韓国が仕掛ける竹島をめぐる宣伝戦

私人による行為とは言え、韓国の人が、米紙ニューヨークタイムズに韓国の竹島領有に関する宣伝を掲載したと言います。この行為の背景には、”大きな声で言った方が勝ち”と信じる、韓国人のものの考え方があるように思います。 一方、日本人はどうかと申します…

これぞ正真正銘の”加藤の乱”

北朝鮮による拉致事件は、れっきとした国際犯罪ですので、拉致の被害者を北朝鮮に帰す必要性など、まったくないことは明らかなことです。それにも拘わらず、国会議員である加藤紘一氏が、拉致被害者5人を、北朝鮮に返すべきであったと発言したという報道に…

信頼を隠れ蓑にした国交省の大麻汚染

本日、国交省の職員が、官舎で大麻を栽培していたというニュースが大きく報じられました。この事件の恐ろしさが何処にあるのかと申しますと、それは、誰もが、まさか官舎で大麻が栽培されているなど、夢にも思わなかったことです。つまり、官舎という空間が…

世界遺産の基準は普遍性?

平泉市が進めてきた世界遺産への登録が認められず、残念な結果との声も聞かれます。落選の理由は、普遍性がないから、ということらしいのですが、そもそも、文化や歴史的な遺跡や遺産に普遍性を求める方が、おかしいのではないか、と思うのです。 科学や倫理…

竹島問題―自ら外交的敗北を進める外務省―

新学習指導要領の中学社会科の解説書に、竹島を「我が国固有の領土」と記述することに対して、外務省がクレームを付けている言います(本日付産経新聞朝刊)。その理由は、日韓関係が悪化する、ということらしいのですが、外務省のこの方針は、明らかに、自…

試験の公平性は健全な社会の基礎

あらゆる試験は、公平性が確保されていなくては意味がありません。そもそも、試験とは、個々の能力や知識などを測るための手段であり、もし、これが不公正な状況で実施されるならば、当然に、正確な判定結果を得ることができないからです。 そうして、試験が…

北方領土交渉は100年の計で

洞爺湖サミットに先立って、ロシアのメドヴェージェフ大統領は、北方領土問題を未解決の問題とし、日本側と交渉を進める用意があることを表明しました。このロシア側の柔軟姿勢への転換は、日本国にとっては千載一遇チャンスなのですが、その一方で、同大統…

創価学会の皇室利用は禁じて手

インターネットの情報によりますと、先日、創価学会が発行する聖教新聞の一面に、皇太子ブラジル訪問の写真が掲載され、しかも、創価学会員と共に創価学会主催のマスゲームをも観覧したというのです。これは、一部の宗教団体による皇室利用なのではないでし…

ブログと日本の日記文化

平安文学は、「更級日記」、「紫式部日記」、「和泉式部日記」など、数々女流の手による日記文学を抜きにしては語れませんし、殿方とて、「御堂関白記」をはじめ、紀貫之の「土佐日記」など公家衆が残した日記も、数え切れない数に上ります。日記とは、本来…

コメの生産割当量売買は”市場もどき”?

昨日の新聞報道によりますと、政府の規制改革会議が取りまとめた第三次答申の中間取りまとめ案の中に、コメの生産割当量売買制度なるもの含まれている言います(7月1日付け日経新聞夕刊)。この制度、市場のメカニズムを取り入れることを目的としてるらし…