時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ブログと日本の日記文化

 平安文学は、「更級日記」、「紫式部日記」、「和泉式部日記」など、数々女流の手による日記文学を抜きにしては語れませんし、殿方とて、「御堂関白記」をはじめ、紀貫之の「土佐日記」など公家衆が残した日記も、数え切れない数に上ります。日記とは、本来、個人の日常を綴る記録や備忘録に過ぎないのですが、日本国では、最初から公開されるものとして書かれた場合が多いのです。

 この日本の日記文化の特色は、何故、日本語で書かれたブログの数が世界一であるのか、という問いの答えの一つであるかもしれません。もちろん、日本国では、ビジネスや宣伝に使用されているという指摘もあるのですが、日常に感じた事を文章につづり、しかも、それに自らの感想を加えることによって、いわば、随筆仕立ての日記を書くことは、日本人にとっては、自然な表現方法であり、さして目新しいことではなかったのかもしれません。私的空間にありながら、公的空間との繋がりを持たせることは、日記というジャンルならではの芸当であったわけです。

 インターネット時代を迎えた現代という時代に至り、日本国では、ブログが流行ることになりましたが、その背景に、伝統的な日記文化があったとしますと、極めて興味深い現象と言えます。そうして、今日も今日とて、パソコンに向かってブログを綴っている私もまた、日記文化に引き寄せられた一人であるのかも知れません。

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