時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

排出権取引や環境税は考えもの

近年、環境政策の手法として、排出権取引や環境税といった方法が、市場のメカニズムを取り入れた新たな手法として脚光を浴びてきました。しかしながら、よくよく考えてみますと、地球温暖化ガスの排出量を減らすという目的には、実は、旧来型のストレートな…

守屋夫妻に見る大和撫子絶滅の危機

日本国では、夫人は公には現れず、家庭にあって内助の功に努めることが美徳とされてきました。この風習は、女性を家に閉じ込めるとして、内外から批判されたりもするのですが、元防衛事務次官が、夫婦揃って逮捕されるという前代未聞の事件を目の当たりにし…

組織悪は倫理の麻痺

よく、集団が関わる犯罪事件などが発生した際に、”個人としては良い人なのに・・・”という評を耳にすることがあります。どうして、人間は、集団になると悪事を働いてしまう傾向を持つのでしょうか。もしかしますと、政官界で頻発している汚職や宗教組織によ…

永住外国人への地方参政権付与は憲法違反

福田政権の成立によって、自民党の政策は政権交代と同じ程の大きな転換を見せており、有権者の戸惑いと当惑を招いています。こうした中で、永住外国人への地方参政権を付与する法案も、国会への提出が再び模索されており、しかも、首相の判断次第とも伝えら…

オウム事件の賠償責任は信者個人にも

報道によりますと、自民党は、オウム真理教の被害者賠償について、政府が肩代わりをして被害者を救済する法案を国家に提出する予定にあると言います。その理由として、オウム真理教(アーレフに改称)の破産が挙げられているのですが、宗教集団によるテロ事…

豪州選挙に見る政権の持ち回り制

豪州では、総選挙の結果、12年間続いた保守連合のハワード首相が政権から去り、労働党のラッド氏が新たな首相に就任することになりました。敗因なき敗北と言われるように、失政を理由ではなく、国民が長期政権に飽きたからとも言われています。つまり、政…

日本国の韓国万博支持は逆効果

日本国政府は、韓国麗水市における「海洋万博」の開催を支持する方針を打ち出したと言います。おそらく、この支持は、日韓友好を考慮しての決定なのでしょうが、この決定は、日韓関係を抜き差しならぬ事態に追いつめる可能性があります。 そもそも、大陸系の…

人権擁護法案は法の前の平等を踏みにじる

鳩山法相は、これまで自民党内で否定的な意見が多数を占めてきた人権擁護法案の成立に前向きな姿勢を示していると言います。しかしながら、この法案は、法の前の平等を踏みにじり、国民による国民に対する監視体制(密告制度・・・)を作ることになるのでは…

万能細胞の研究は社会保障政策も救う

先日、京都大学とウィスコンシン大学の研究グループが、世界で初めて万能細胞「iPS」の作成に成功したという驚くべきニュースが世界を駆け巡ることになりました。この成功は、日本国のみならず、人類への朗報として世界各国に伝えられたのです。 ところで、…

もし財政赤字をゼロにしたら

もし、政府の財政赤字をゼロにすることができたら、どのようなことが起こるのでしょうか?もちろん、ゼロへの道のりは遠いのですが、予算に9兆5千億円ばかりの余裕ができるのです。 単純なお話しなのですが、この額は、2007年度予算の国債の利払い分な…

外務省に巣食う大鳳会は国権の簒奪組織

外務省という行政機関は、国家の統治機構の一機関であり、民主的選挙の結果を受けて構成される政府に従うべき組織でもあります。しかしながら、もし、この組織の中に、私的な集団の目的のために働く人々が内部集団を結成したとしたら、どのようなことが起こ…

中国の砲艦外交は日中友好を破壊する

近年、中国の急激な経済発展を背景に、中国との友好関係の強化がしきりに謳われるようになりました。しかしながら、ここに至って、東シナ海ガス田での日本国の試掘作業に対して、中国政府が、艦隊の派遣を示唆したという報道がありました。もしこの事が事実…

物価の上昇は隠れた増税

インフレ=物価の上昇は、”隠れた増税”と言われています。今般、消費税率の引き上げをめぐっては、引き上げ不可避論などが展開されていますが、原油価格や穀物価格の急激な上昇を原因として、現在、物価が上昇傾向にあることを考えますと、税率を上げなくて…

中国は南京大虐殺を非難するなら国際刑事裁判所に加盟を

今年の7月に、日本国は、国際刑事裁判所(ICC)ローマ規約の締約国となりました。本規約については、問題点や限界も多いのですが、集団的殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪が、現在までのところ、対象となっていると言います。 ところで、ローマ規約は…

憲法第9条は偽善

今月15日、横田めぐみさんが北朝鮮に拉致された日から、30年という月日が経つことになりました。学校からの帰宅途中に忽然と姿を消して以来、今日に至るまで再びめぐみさんと会うことができないでおられるご両親、そうして、かの地で囚われの身となって…

アジアの時代の不安

近年、特に冷戦崩壊後においては、アジアの時代の到来が華々しく喧伝されるようになりました。その背景には、中国を筆頭に、めまぐるしい経済成長を遂げる諸国の存在があります。しかしながら、このアジアの時代には、懸念材料も多くあるのです。 現在、民主…

恒久法と国際平和協力法

自衛隊の海外派遣については、民主党を中心に恒久法制定に向けての動きが続いているようです。また、自民・民主両党の党首会談による大連立協議の際には、国連決議を条件とする内容で合意に達したとの情報もありました。真偽のほどは分かりませんが、あまり…

穀物価格上昇は休耕地活用のチャンス

長引く減反政策の影響もあって、日本国の水田の多くが休耕地として放置されている言います。地方と都市との経済格差も政策課題として挙がっていますが、休耕地の有効利用も、地方経済の活性化策に繋がるのではないか、と思うのです。 しかも、現在、石油価格…

総選挙の結果、もうひとねじれしたら

現在の衆議院と参議院の状況を見ますと、衆議院において連立与党が3分の2以上の議席を確保しているため、かろうじて、衆議院が、政策決定の主導権を握っています。しかしながら、仮に、衆議院の解散総選挙の結果、連立与党がかろうじて過半数を獲得しつつ…

地球温暖化対策は新興国の参加を見極めてから

地球温暖化ガスの削減については、欧米諸国や国連を中心に排出権取引などに関する取り組みが既に進行しているようです。しかしながら、中国やインドといった新興国の参加を確認してからではないと、具体的な政策や制度を決定することは難しいのではないか、…

中国の恐ろしきエスニック・クレンジング

新聞報道によりますと、中国政府は、ウイグル自治区から独身の女性を都市部に強制移住させることにより、ウイグル族の消滅を図っていると言います(産経11月10日付朝刊)。チベットにおきましても、漢民族を移住させることにより、チベット族を少数派に…

許認可制度における国と企業の責任分担

薬害事件や耐震構造偽装事件など、近年、政府の許認可制度に関連した訴訟事件が多発しています。果たして、国は、どこまで法的な責任を負い、また、国庫支出による被害者救済の義務があるのでしょうか。 この問題を考えるに際してまず確認すべきことは、政府…

薬害肝炎の解決にはバランスを

薬害肝炎とは、ウィルスの混入した止血用の血液製剤を投与された患者の方々が、C型肝炎に感染してしまったという薬害事件です。この事件については、舛添厚生大臣が、被害者の方々に1000億円規模の国家補償を示すとともに、大阪高裁でも和解勧告が出されるこ…

代理出産には深慮を

本日の新聞報道によりますと、世論調査の結果、代理出産を認めても良いとする意見が過半数を越えたと言います。しかしながら、生命倫理に関するこの問題は、より慎重な議論が必要なのではないか、と思うのです。 第一に、この問題は、”親”の定義から始めなく…

国連至上主義の”恒久法”と国連憲章との不整合

本日、民主党もインド洋での給油活動継続に対して柔軟な姿勢を見せ始めたとの報道があり、ようやく日本国を揺るがしたこの問題も峠を越えつつあるように見受けられます。しかしながら、自衛隊の海外派遣に関する議論は、これから本格化せざるを得ないのでは…

密室の党首会談は疑心暗鬼を生む

福田・小沢両党首による党首会談は、結局、民主党側の大連立拒否と小沢氏の辞意表明という事態に至いることになりました。ところで、この党首会談の合意内容は、あろうことか、両サイドの主張するところが大きく食い違っているのです。 この食い違いは、自衛…

政党再編はねじれ現象を解消する

参議院選挙から端を発して、ねじれ現象が起きてしまった日本国の政局は混迷を深めています。それでは、どのようにしたらこの混沌状態から脱出することができるのでしょうか?早期の憲法改正が困難となりますと、政党の再編成も、国会のねじれ現象を解消する…

国連中心の恒久法は台湾有事に自らの手を縛る

自衛隊の海外派遣について、現在、自民党および民主党とも、基本的には前向きの姿勢を見せているといいます。大連立の協議にあっても、自民党が、民主党の国連中心主義に妥協を示したとも伝わりますが、仮に、国連決議を条件とした海外派遣を基本原則としま…

テロ対策としての人道支援の限界

新テロ特措法をめぐっては、インド洋での給油活動ではなく、アフガニスタンでの人道支援を行うことによって、テロリストを生む根本的な要因こそ根絶すべきではないか、との意見がよく聞かれます。しかしながら、相手がイスラム原理主義のタリバンであること…

民主党の既定路線は日本国弱体化政策?

本日、インド洋で給油活動を行っていた自衛隊の部隊に終に撤収命令が出されることになり、日本国は、テロとの闘いを目的とした国際協力体制から一旦、退くことになりました。再びインド洋に日の丸がはためく日はくるのでしょうか。 そもそも、アフガニスタン…