時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

永住外国人への地方参政権付与は憲法違反

 福田政権の成立によって、自民党の政策は政権交代と同じ程の大きな転換を見せており、有権者の戸惑いと当惑を招いています。こうした中で、永住外国人への地方参政権を付与する法案も、国会への提出が再び模索されており、しかも、首相の判断次第とも伝えられています(本日産経新聞朝刊)。

 この法案には、以前より幾つもの重大な問題点が指摘されてきましたが、何と言いましても、憲法違反であることは否定のしようもありません。何故ならば、平成7年2月28日の最高裁判決において、違憲判決が既に下されているからです。それでは、何故、各政党は、憲法違反の法案をこぞって作成したのでしょうか。民主党公明党がこうした法案を作成した背景には、裁判官による付帯意見の中に、”法律で参政権を付与することは妨げない”、つまり、法律を制定すれば違憲ではなくなる、というとんでもない意見があったからなのです。何故とんでもないかと申しますと、憲法違反であっても、この付帯意見は、法律さえあれば合憲になると言っているに等しく、憲法よりも法律の方を上位に置いているからです。もし、こうした前例が作られれば、憲法はあってなきが如くとなり、憲法秩序は、やがて崩壊してしまいましょう(ヒトラーは、「授権法」という法律を制定することによって、民主的なワイマール憲法体制を完全に葬り去った・・・)。

 本法案が憲法に違反していることのみならず、憲法擁護義務を担う議員の方々が、憲法秩序を破壊しかねない危険な方法で法案を作成したことは、日本国の行く末を考えますと、とても恐ろしいことのように思えてならないのです。