時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

オウム事件の賠償責任は信者個人にも

 報道によりますと、自民党は、オウム真理教の被害者賠償について、政府が肩代わりをして被害者を救済する法案を国家に提出する予定にあると言います。その理由として、オウム真理教アーレフに改称)の破産が挙げられているのですが、宗教集団によるテロ事件の賠償責任は、宗教法人のみならず、個人にも負わせるべきではないか、と思うのです。

 もし、テロや殺人を教義において認めるような宗教法人などが、法人の解散や破産をもってその構成員たちが賠償責任から逃れられるとしますと、モラルハザードが起きてしまう可能性があるからです。もとより、集団的なテロ事件では個人責任は問われないとなれば、再び無責任、あるいは、狂信的な人々が集まって、こうした事件を起こしかねません。宗教団体によるテロや殺人を抑止するためにも、たとえ、集団自体が消滅しても、その構成員は、生涯を通じて賠償責任を負い、罪を償うということを原則としなければならないと思うのです(個人責任が問われるとなれば、怪しい宗教集団やテロ組織に加入しようとする人が少なくなる・・・)。

 国が被害者への賠償を建て替えることがあっても、社会のモラルを維持するために、テロ集団の構成員個人に対する賠償請求権を放棄してはならないのではないでしょうか(ただし、法案を読んでいませんので、もしかしますと、このように書いてあるかも知れません。悪しからず・・・)。