時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「進化論」から見えてくる人類共通の脅威:人事問題をめぐる「神様志向型人類god (goddess)-minded human」と「野獣型人類 beast human」の争いはどちらが有利か

今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。生物は、とかく‘群れ’をつくって行動する場合が多いようです。チンパンジーなどの類人猿もしかりであり、人類が、そのあらゆる行動・活動におきまして、組織をつくっていることと、一見…

ヘイトスピーチ規制より虚偽情報規制を

昨日の記事では、報道の自由について、簡単に整理してみました。本日は、ヘイトスピーチ規制と言論の自由との関係から記事を書くことにします。 報道の自由とは、いわば、政府の検閲や統制から国民の知る権利を護るために存在する原則です。この原則は、報道…

百田氏発言が提起する報道の自由問題

自民党の若手政治家の勉強会において、作家の百田氏が沖縄のマスコミ2社を批判する発言をしたところ、ネット上では、賛否両論の議論を呼んでおります。この一件、まずは、報道の自由なるものを整理しておく必要があるのではないかと思うのです。 報道の自由…

南シナ海問題-違憲論者は海洋安全保障にも反対?

昨年7月の閣議決定を経た集団的自衛権に関する政府見解の変更を受けて、今年4月27日に、新たな日米ガイドラインが公表されました。新ガイドラインによりますと、少なくとも緊張高まる南シナ海問題については、海洋安全保障の文脈において対応する可能性が…

韓国人に徴用による損害は発生していないのでは?

近年、戦時徴用によって日本国で仕事に就くことになった朝鮮半島出身の人々が、日本企業を相手取り、損害賠償を求めて韓国国内の裁判所に提訴する事件が相次いでおります。先日、一審のみならず、控訴審でも日本企業に賠償を命じる判決が出されましたが、そ…

憲法解釈論争の正体は政策論争

憲法、特に第9条には、完全無防備論から侵略戦争放棄論まで幅広い解釈が存在することは、本ブログにおいて、再三、指摘してまいりました。解釈のレンジが広いことは、解釈論争とは仮の姿であり、その正体は、政策論争であることを意味しております。 これま…

簡単そうで怖ろしい違憲論者の”身近な説明”

今国会で審議されている安保法案は、説明が難解で複雑なところが、国民からの理解を得られない理由の一つとして指摘されております。その一方で、簡単そうで恐ろしいのが、芸能界の”恋愛禁止”を引き合いに出した”身近な説明”です。 集団的自衛権を違憲とする…

「進化論」から見えてくる人類共通の脅威:進化論から見たNPT条約問題

今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。古代・中世史を中心に研究しております私が、なぜ、進化論を扱い、政治ブログの『時事随想抄』にて記事を書かせていただいているのか、と申しますと、歴史学を含めまして、学問はすべて…

イラク戦争は集団的自衛権の必要性を示す事例

憲法第9条につきましては、最近、集団的自衛権まで、違憲として否定する意見が散見されるようになりました。かなり過激な方向に進んでおりますが、その論拠として、しばしばイラク戦争が挙げられております。日本国が、アメリカの戦争に加担する、として…。…

合憲論が憲法学の主流であったのでは?

安保法案をめぐっては、憲法学者の間では違憲論が主流なそうです。違憲論者の中には、合憲論を見つけるのは、ネッシーの発見と同じくらい不可能であると主張する方もおります。 憲法学のテキストによれば、第9条1項に対する解釈は、大きく分けてA説とB説が…

安保法案違憲論-政府解釈から判断すべきでは?

安保法案に関する衆議院の憲法審査会に参考人として招かれた憲法学者の方々は、口を揃えて”違憲”との判断を示しております。しかしながら、この違憲判断、自らが設定した特定の憲法解釈に基づくものに過ぎないことは、昨日の記事で説明いたしました。 ところ…

安保法案違憲論の不誠実-特定の解釈支持なのでは?

衆議院憲法審査会に招かれた三名の参考人をはじめ、憲法学者の方々が、相次いで安保法案を”違憲”と断言したことで、当法案の行くへには不透明感が漂うようになりました。ところで、この憲法学者による”違憲判定”、国民に対して不誠実ではないかと思うのです。…

日韓慰安婦問題交渉の行方-安易な妥協は禁物では?

先日、慰安婦問題をめぐる日韓交渉に進展があったとする朴大統領の発言が報じられたばかりですが、この問題については、安易な妥協は禁物ではないかと思うのです。 交渉の進捗状況については不明なものの、韓国側が従来通り、謝罪と賠償を求める一方で、日本…

違いすぎる日独の戦後補償

戦後補償について、韓国は、常々ドイツと比較して、日本国の補償は不十分であると批判しております。”日独では、違いすぎる!”と。しかしながら、日独の戦後処理を見ますと、別の意味で、日独は違いすぎると思うのです。 日本国は、「日本国との平和条約」の…

「進化論」から見えてくる人類共通の脅威:進化論から見た憲法第9条改正議論

今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。本ブログにて、進化の結果として、人類には、「神様志向型人類god (goddess)-minded human」と「野獣型人類 beast human」という大別して2種類の人々が存在していることを、再三にわた…

”日韓相互理解”における相互性の欠如-聞く耳を持たない韓国

昨日に続いて、本日の記事でも、日韓の相互理解について問題点を挙げてみようと思います。 相互理解という限り、韓国側も、日本国の主張に耳を傾け、理解を深めるべきはずです。ところが、日本国に対する韓国の態度を見ますと、門前払いするか、端から否定す…

韓国理解の結果が日韓関係悪化では?

先日、「首を傾げる”日韓未来論”」と題し、神戸大学教授の木村幹氏の見解に対して疑問を呈したのですが、本日の日経新聞でも、”今を読み解く”の欄で日韓関係と歴史問題について、同様の趣旨の一文を載せておられました。 副題にも見えるように、氏は、”相手…

”慰安婦問題相当進展”は韓国の常套手段では?

報じられるところによりますと、米メディアでのインタビューにおいて、韓国の朴大統領は、日本政府との交渉で慰安婦問題に相当の進展があり、現在、最終段階にあると述べたそうです。一方、日本政府は、この発言を否定しております。 朴大統領、あるいは、日…

韓国の対日追加請求は失敗するのでは?

これまで、”日韓基本条約体制”について、個別の協定を検証しながら記事を書いてきましたが、これまでの検証から推測できることは、今般の韓国による対日追加請求は、失敗に終わるのではないかということです。 日韓交渉の過程について明らかになったことは、…

日韓法的地位協定が残した禍根

日韓請求権協定が、冷戦下における日米による韓国支援の一環であり、それは、”犠牲”と表現しても過言ではないほどの日本国側の大幅な譲歩によって実現したことは、これまで本ブログ記事において指摘してきました。そして、同時に締結された日韓法的地位協定…

日韓請求権協定の誤解5-日本から引き上げた韓国人の財産は?

これまで、数回にわたり、日韓請求権協定にまつわる誤解について記事を書いてきましたが、この問題には、さらなる謎が残されています。その一つは、終戦後に、日本国から引き揚げた韓国人の日本国内に残された財産の処理です。 アメリカ政府は、講和条約の作…

「進化論」から見えてくる人類共通の脅威:人類の人類たる所以は脳の進化

今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。前回の本ブログ(6月2日付)にて、地球上における生命体のはじまりにつきましては、「生命単一起源説A Theory of the Single Origin of Living thing」を唱えることができる、と述べま…

日韓請求権協定の誤解4-”どんぶり勘定”による韓国の大得

日韓請求権協定に際して、韓国は、十分な支払いを受けていないとして、日本国に対して今後とも戦後補償を求めると息巻いております。日韓交渉の経緯を見ますと、この認識も誤解ではないかと思うのです。 この時の経済協力には韓国側の全請求への補償が含まれ…

日韓請求権協定の誤解3-韓国には日本財産処分権はなかった

信じ難いことなのですが、韓国には、1965年の日韓請求権協定を不当とし、その破棄を求める声があるそうです。しかしながら、これまで指摘してきましたように、この協定の実態は、冷戦下における西側の韓国支援を目的とした日本国による大幅な政治的譲歩以外…

日韓請求権協定の誤解2-日本国の請求権放棄の背景

先日は、日韓請求権協定の誤解1として、両国の請求権相互放棄の実態は、日本側の補償なき放棄と韓国側の補償付放棄のセットであったことを指摘いたしました。本日は、日本側が、何故、補償なき放棄となったのか、その経緯について説明しようと思います。 日…

やはり首を傾げる日韓関係改善論

先日は、「首を傾げる日韓未来論」という題で、日経新聞の経済教室欄に連載されている”国交正常化50年 日韓の未来”について記事を書いたのですが、同シリーズの最後となる本日の紙面には、世宗研究所所長の陳昌洙氏が寄稿されておられました。 陳氏の基本的…

天安門で散った学生こそ中国の誇り

1989年6月4日、中国の天安門広場では、多くの若者が人民解放軍の弾圧によって命を散らすことになりました。現在、中国では、この事件を歴史から抹殺しようと躍起になっております。 天安門事件で犠牲となった学生の親たちは、名誉回復を求めて中国政府に対…

首を傾げる”日韓の未来”論

本日の日経新聞の経済教室欄に、”国交正常化50年 日韓の未来㊤”というタイトルで、神戸大学教授の木村幹氏が日韓基本条約に関する分析を寄稿されておりました。一読いたしましたところ、その内容には、首を傾げざるを得ないのです。 全体の趣旨は韓国側の主…

「進化論」から見えてくる人類共通の脅威:生命単一起源説

今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。人類につきましては、「人類単一起源説」なるものがあり、その是々非々は、議論となっておりますが、生命につきましては、「生命単一起源説」を唱えることができるかもしれません。 地球…

日韓請求権協定の誤解1-日本国の補償なし放棄と韓国の補償付放棄

1965年の日韓請求権協定については、一般的に、日韓両国が、双方の国と国民の請求権を”相互放棄”したと解釈されております。一見、対等で公平な請求権の処理のように見えますが、幾つかの点で、この協定は、韓国に一方的に有利な結果をもたらしました。 第一…