安保法案違憲論-政府解釈から判断すべきでは?
安保法案に関する衆議院の憲法審査会に参考人として招かれた憲法学者の方々は、口を揃えて”違憲”との判断を示しております。しかしながら、この違憲判断、自らが設定した特定の憲法解釈に基づくものに過ぎないことは、昨日の記事で説明いたしました。
ところで、この審査会の参考人招致で不可解な点は、どの憲法学者も、政府解釈を基準として判断しようとはしなかったことです。違憲論を主張する他の憲法学者の方々も、政府解釈に対しては無視を決め込んでおります。しかしながら、安保法案とは、そもそも、昨年7月2日に、閣議決定を経て変更された集団的自衛権に関する政府解釈を受けて作成されたものです。そうであるからこそ、当然に、内閣法制局長も合憲と判断したのであり、政府解釈の変更こそが、出発点にあるのです。ですから、憲法審査会においては、まずは、政府解釈に照らして法案に関する判断を行うべきです。そして、仮に、審査会で、法案に対して何らかの反対意見を表明するのであるならば、それは、法案そのものではなく、政府解釈に対するものでなければならないはずです。
最高裁判所に違憲立法審査権があるものの(統治行為論による判断回避も…)、憲法に関する解釈権は政府にありますので(政府の法案提出権…)、政府解釈に対する批判は、安保法案を違憲立法として廃案とする根拠とはならないのではないでしょうか。
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