時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

密約を認めて建設的な議論を

米軍の核持ち込みを認める密約の存在が明らかとなったことで、政府は嘘を吐いてきたとして、非核三原則に反するとして非難する意見も見られます。確かに嘘はいけませんが、今後、議論すべきは、日本国の安全保障を見据えた防衛議論なのではないかと思うので…

北朝鮮化するイラン

北朝鮮の核やミサイル開発について、イランとの協力がしばしば指摘されてきましたが、イランの現政権の統治手法や行動パターンを見てみますと、最近、だんだんと北朝鮮に似てきているのではないかと思うのです。 ”朱に交われば赤くなる”とは申しますが、独裁…

婚外子と家族制度の崩壊問題

本日、日経新聞の社説にて、婚外子の相続の分が不平等である問題を挙げて、結婚の形態の多様化を求める意見が掲載されていました。しかしながら、婚外子には、二つの形態があり、それを混合して論じることはできないのではないかと思うのです。 上記の社説は…

マスコミは政治家を選ぶ?

国会議員とはそれぞれが国民の代表ですので、マスコミが、政治家にインタビューを求める時には、幅広い政治家にマイクを向けた方がよいに決まっています。しかしながら、どうしたことか、NHKなどのマスコミがインタビューする政治家には偏りがるようなのです…

地方分権は同床異夢?

最近、地方自治体の長を務める若手政治家の活躍が目立っており、大阪府の橋下知事や宮崎県の東国原知事など、地方分権を共通のスローガンにかかげて、政界に新たな旋風を巻き起こしそうな気配です。ところで、地方分権と言いましても、実のところ、地方の置…

東国原氏の国政進出で利益誘導型の政治に逆戻り?

自民党が、選挙の目玉として宮崎県知事の東国原氏に自党からの立候補を要請したことが、各方面から話題となっているようです。総裁の椅子を氏が条件に挙げたこともさることながら、地方利益を強調する氏の政治姿勢が、国民の共感を呼ぶとも思えないのです。 …

日本国政府も中国の資源囲い込みをWTOに提訴しては

第二次世界大戦の経済的な要因として、しばしば経済ブロックの成立と資源の囲い込みが指摘されています。WTOに加盟することで、中国は、本格的にグローバル市場に参入するようになりましたが、その旧態依然とした行動パターンを見る限り、今後とも市場経…

イスラム諸国はイラン改革派を支持?

不正選挙疑惑をきっかけとして、イランでは、アフマディネジェド大統領を擁する保守派に対して、ムサビ氏を支持する改革派の抗議運動が続いているようです。イランは、厳格なイスラム体制の国として知られていますが、同じくイスラム教を奉じるイスラム諸国…

イランの国民は正義を求めた

大統領選挙の不正疑惑を発端として、イランでは、改革派による抗議運動が続いているようです。NHKなどの報道では、治安部隊や民兵組織のバシジが国民に対する弾圧を強行することで、鎮静化されるのではないかとの憶測を流していましたが、事態は、それほ…

選挙の不正は正当性を揺るがす

先日実施されたイランの大統領選挙において、不正があったとの疑いから抗議運動が発生し、イラン国内は混乱が続いているようです。民主主義国家にあっては、政権の正当性を支えているのは選挙結果に他なりませんので、どの国にあっても、選挙の公正性は厳重…

臓器移植法案―最も不憫な子供達

臓器移植法のA案が衆議院を通過したことで、国民の間でも臓器移植に対する関心が高まっているようです。本法案では、特に小児の臓器売買が起きることが懸念されていますが、もし、指摘されるような事態が起きれば、最も不憫で可哀そうなのは、臓器移植のた…

臓器移植の功罪

昨日、衆議院で可決された臓器移植法A案は、小児の臓器移植への道を開くとして、移植を待つお子さんをもつ親御さんにとりましては、望ましい結果であったかもしれません。その一方で、人が人の命を扱う以上、誰の心も、生涯にわたって重荷を背負うことにな…

13兆円偽米国債事件―日本国政府の管理責任

先日、二人の”日本人”が、イタリアからスイスに13兆円もの額の偽米国債が運びこもうとして逮捕されたとのニュースが報じられていました。捕まった二人の”日本人”は、おそらく、日本国のパスポート保持者か、あるいは、日本国籍を持ちながらも、外国政府か…

天から降るおたまじゃくし―平成の”ええじゃないか”?

最近、全国各地で天からおたまじゃくしや小魚が降ってくるという謎の現象が報告されているようです。この事件で思い出すのは、幕末の”ええじゃないか”です。 慶応3年(1867年)から翌年にかけて、天からお札が降ってきたことが騒ぎの発端となって、ついには…

イランの抗議運動は第二の天安門事件となるのか

イランでは、大統領選挙の集計に不正があったとする疑いが浮上し、現職で当選したアフマディネジャド氏の対抗馬であった改革派のムサビ元首相を支持する人々がデモを組織し、激しい抗議運動を行っていると報じられています。この抗議運動のさなかに、民兵の…

郵便不正―最大の問題は容易な公文書偽造を許す体制

昨日、障害者団体向け郵便料金割引制度の悪用に関連して、証明書偽造の廉で現職の厚生省局長の方が逮捕されました。本事件で最も問題とすべきは、安易な公文書偽造を許した体制なのではないかと思うのです。 そもそも、郵便不正事件は、厚生省から発行された…

北朝鮮の国連除名という選択肢

1991年9月に、北朝鮮と韓国が国連に同時加盟を果たしたとき、多くの人々が、アジアでも冷戦が終焉し、安定と平和の時代が訪れることを期待したはずです。しかしながら、今になって振り返ってみますと、この時の安易な国連加盟が、今日の北朝鮮問題の元…

北朝鮮問題は時間との闘い

北朝鮮は、本日、核兵器製造用のウラン濃縮着手を表明しました。この外務省声明で述べられた”技術開発が順調に進み、試験段階に入った”との文言から考えますに、北朝鮮問題の解決に残された時間は僅かしかないのではないかと思うのです。 声明に見られる”試…

北朝鮮問題―NPT体制の存続をかけた闘い

アメリカの北朝鮮特別代表のボスワース氏は、北朝鮮が対話路線に復帰する道は、未だに閉ざされていないと呼びかけたようです。しかしながら、北朝鮮がウラン産出国であることを考えますと、北朝鮮が、この呼びかけに応じて六カ国協議に復帰するとは思えない…

政府のエコ対策は未来都市の先取り

政府は、温室効果ガスの15%削減案とともに、太陽光発電の20倍計画、電気自動車の普及、および、省エネ住宅の促進などに対する補助金の付与などをエコ対策として掲げているようです。しかしながら、これらの政策には、いささか疑問な点があるのです。 と…

予防的先制攻撃―何も書かないほうがよいのでは

新聞報道によりますと、自民党の国防関係合同会議が起草した「防衛計画の大綱」への提言において、北朝鮮を念頭に置いた敵基地攻撃について、「予防的先制攻撃」は行わないという一文を追加したと伝えられています。しかしながら、この一文は書かないほうが…

6月17日の党首討論では外政の議論を

民主党の鳩山代表が唱える”友愛”路線は、対外政策においては、融和政策として具体化されるのではないか、とする懸念の声が上がっているようです。中国の軍拡のみならず、北朝鮮の常軌を逸した行動と恫喝を目の当たりにし、国民の多くは、日本国を取り巻く状…

北朝鮮―テロ支援国家解除が仇に

昨年10月に北朝鮮のテロ支援国家指定解除された時から、我が国をはじめとして、この措置に対する懸念の声は既に上がっていました。テロ支援国家を解除したところで、北朝鮮がその態度を改めることはないのではないかと。 残念なことに、この懸念は現実のも…

北朝鮮―自己改革者を選べない国の悲劇

北朝鮮では、権力の継承をめぐり、粛清を伴う兄弟間の激しい争いが発生しているようです。まるで遠い昔の世界を見ているようなのですが、王位継承法もないのですから、この継承争いは熾烈を極めそうです。 不思議なことに、北朝鮮という国は、核開発やミサイ…

敵基地攻撃―ミサイル配備は侵略未遂罪?

ある国が他国を攻撃するためにミサイルを基地に配備し、発射準備を始めた場合、ミサイルの照準が定められた国が、ミサイル基地を攻撃できるのか、否か、という問題は、何時の時点をもって侵略行為の着手と考えるのか、という問題を問うことでもあります。ミ…

敵基地攻撃は正当防衛

ある国が、他の国への攻撃を目的としてミサイルの発射準備を始めた場合、そのミサイル基地を攻撃することは、先制攻撃に当たるのでしょうか。また、この先制攻撃は、国際法において侵略行為とみなされるのでしょうか。 敵基地攻撃に反対している人々は、ミサ…

天安門事件の再評価―中国は民主主義を否定できるのか

20年前の今日この日、中国の天安門広場において、民主化を求める学生運動家の方々の多くが人民解放軍の無慈悲な銃撃を受け、無残にも命を落とされることになりました。本日、中国政府の報道官は、記者会見において天安門事件の再評価を否定し、この発言に…

北朝鮮への国連制裁決議―心配な中東諸国の協力

現在、国連安保理では、北朝鮮に対する武器の完全禁輸を含む決議案が調整されていると報じられています。もし、この決議案が成立するとしますと、全ての国連加盟国は、この決議に従う義務を負うことになるはずなのですが、中東諸国の態度が心配なところです。…

世襲と供託金―開かれた選挙のための改革

国会議員の世襲制限が、政治家になる機会の平等の観点から政治課題として議論されるようになりましたが、もう一つの論点として、各政党は、供託金制度の改革を打ち出してはどうかと思うのです。 我が国の供託金の高さが群を抜いていることはよく知られており…

核密約の有無を聞きたかったのは誰?

本日、60年の日米安保改正時において結ばれたとされる核密約を、外務官僚が管理しているとの一部報道について、河村官房長官が記者会見で否定したと報じられています。ところで、この核密約、何故、この時期に話題に上ることになったのでしょうか。 どのマ…