時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本国政府も中国の資源囲い込みをWTOに提訴しては

 第二次世界大戦の経済的な要因として、しばしば経済ブロックの成立と資源の囲い込みが指摘されています。WTOに加盟することで、中国は、本格的にグローバル市場に参入するようになりましたが、その旧態依然とした行動パターンを見る限り、今後とも市場経済の撹乱者となりそうなのです。

 本日も、中国政府が、鉱物資源の輸出に際して、高率の輸出関税を課したり、自国企業への優遇政策を行っていることが問題視され、アメリカとEUは、WTOへの提訴を決めたと報じられていました(日経新聞本日付朝刊)。いわば、資源の囲い込み政策であり、こうした保護主義的な政策は、経済問題を資源争いという政治問題に転化する要因となります。市場経済が、相互の取引自由化を前提として機能しているとしますと、囲い込み政策とは、自由な取引を制限する逆方向の政策なのです。

 日本国政府は、WTOへの提訴に躊躇しているようですが、ここはやはり、アメリカとEUとともに、提訴に踏み切るべきであるのかもしれません。個別の政府間交渉ですと、日中の合意が市場の一般的なルールを歪めることにもなりかねないからです。日本国政府の弱腰は、やがて、市場経済の原則をも壊すことになるかもしれないのですから、中国への気兼ねは禁物であると思うのです。

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