時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

本能迎合型政治の行方

最近、”経済危機の原因は人間の本能である”という記事を目にしました。この説は、原始時代から常に欠乏状態にあった人間は、欲しいものを手に入れると脳内のドーパミンが増加し、快感を覚えるという本能を持つというものです。現代に至ってもこの本能は変わ…

公明党にも人質にされたインド洋給油延長法案

民主党が、インド洋給油延長法案を人質にしていることは、以前の記事で述べたのですが、もう一つ、この法案を人質にしている政党がありました。それは、公明党です。 公明党は、野党ではなく連立与党の対場にあって、自民党に対し、法案を人質に取って脅して…

地域振興券の失敗から学ぶべき

バブル崩壊後の景気低迷期にあって、地域振興券という「ばらまき政策」が行われ、この手法が失敗に終わったことは、多方面の経済分析機から既に明らかとなっています。ところが、この失敗策を、政府は、今日、再び繰り返そうとしているようなのです。 地域振…

”新自由主義者”の功罪

自民党内では、”新自由主義者”あるいは”上げ潮派”と呼ばれた人々が、かつての勢いをなくし、孤立化しているとの報道がありました(産経新聞本日付朝刊)。それでは、何故、”上げ潮派”は支持を失ったのでしょうか。 小泉内閣が郵政民営化を訴えたとき、多くの…

経済システムの総点検を要する金融危機

金融危機への対応として、政府は、矢継ぎ早に緊急市場対策を実施すると報じられています。もちろん、対処療法も必要なのですが、世界経済全体を見渡した長期的な取り組みも検討すべきではないか、と思うのです。 たとえば、国際通貨制度ひとつをとりましても…

2010年の消費税率上げ景気次第?

今般の金融危機を受けて、政府は、2兆円規模と言われる定額減税を始めとして、景気対策のためのさらなる財政支出を検討しているようです。その一方で、この景気対策で傷んだ財政を手当てするためにか、2010年には、消費税率上げを予定しているとも報じ…

民主党は法案人質作戦から脱却すべき

衆議院の解散が先送りされる見通しを受けて、民主党は、インド洋での給油活動を延長する法案に対して、早期成立路線からの転換を検討していると報じられています(日経新聞朝刊)。こうした民主党の手法は、一種の人質作戦ではないか、と思うのです。 人質と…

日本企業の先端産業に融資を

日本国の企業は、太陽光発電や海水の淡水化などの技術において他国企業に一歩先んじていながら、急速に先進国や新興国の企業に追い上げられ、その優位が揺らいできていると報道されています。他国企業の急速な成長の要因の一つとして、多額の資金を集め、大…

対馬を守るための策

竹島問題に端を発して、韓国では、対馬までもが韓国領とする主張が公然と唱えられていると報じられています。この主張だけでも、随分と”侵略的”なものと思うのですが、狙われている対馬では、韓国資本が進出し、韓国人の観光客に占領されそうな勢いと言うの…

移民政策より人材育成を

最近、移民の送りだし国と思しき中国でも、政府高官が、自国の人材不足を嘆いているといった報道がありました。そこで、はたと疑問に思ったことは、それでは、”外国からの優秀な人材の確保”を目的に掲げた移民政策とは、一体、何なのか、ということです。人…

北朝鮮の核廃棄費用を日本国が負担?

本日の日経新聞によりますと、日本国政府は、北朝鮮の核廃棄の費用を負担する方向で検討に入るそうです。六カ国協議の”バスに乗り遅れるな”の対応なのですが、この負担には、疑問を持たざるを得ないのです。 まずもって、NPT条約違反を行った国に対して、違…

小沢理論の”対称性の自発的破れ”

民主党の小沢代表は、国連中心主義の主導者として知られています。小沢理論とは、日本国の自衛隊は、国連決議に基づく場合に限り、憲法違反となることなく、海外派兵を行うことができ、軍事力を行使することができる、とする主張のようです。 しかしながら、…

移民政策は不義理

自民党の中川氏の「移民1000万人計画」に加えて、先日、経団連も、移民推進政策を提言すると報道がありました。経団連の提言ですので、廉価な労働力としての移民活用が大いに疑われるのですが、もし、低賃金を目的としているならば、それは、日本国民に…

東宮家の運動会報道を憂う

先日、学習院の初等科の運動会の様子が放送されておりました。徒競走で、内親王が一位をとったとの内容でしたが、果たしてこの報道、日本の社会に良い影響を与えたのでしょうか。 徳という観点から見ますと、皇族が一位であることを殊更に強調して誇るという…

環境税でさらに景気後退?

ニュースによりますと、環境相から、増税の代わりに環境税の導入したいとの発言があったと言います。しかしながら、今年に至って、温暖化現象の変化がしばしば指摘されるようになり、また、金融危機から景気後退が懸念されている中で、CO2の排出量に比例す…

食品輸入は中国の土壌調査から

毒入り餃子事件が未解決にもかかわらず、今度は、冷凍いんげんにも高濃度の農薬が検出されたと言います。食品会社の方々は、常々、中国における製品管理は徹底しており、契約農家の耕地であるから安全と強調しているのですが、それが事実であるのか心配です。…

経団連は民主主義を尊重して

経団連が、経営者の立場から政策提言を行うことは当たり前のことですし、政策形成過程で、経済界の意見を聴くことも必要なことでしょう。しかしながら、経団連が、全ての国民に関係する政策を、自分本位で政府や国民に押し付けよるとしますと、これは、大い…

文化大革命は愛ゆえに許される?

昨晩、日本テレビで『女たちの中国』という番組を放送していました。西太后、楊貴妃、江青の三人を扱っていたのですが、この三人に対する番組の解釈にしばし唖然とさせられたのです。 中でも、特に酷かったのが、文化大革命の首謀者であった江青の評価です。…

アジア開発銀行は北朝鮮に融資してはならない

アメリカ政府の北朝鮮に対するテロ支援国家により、北朝鮮には、国際機関から融資を受ける道が開かれると言います。世銀の場合にはIMFへの加盟が条件となり、かなりハードルが高いのですが、アジア開発銀行の場合は、そうでもないらしいのです。 アジア開発…

国籍法改正で融解する国民?

国民とは、領域や主権と並んで、国家を構成する要件と言われています。その国民の枠組みが、大きく変化するのですから、国家そのものに影響がないはずはありません。 世界中で二重国籍を認める国が増加するとしますと、やがて、二重どころか、多重国籍者が出…

北朝鮮のテロ国家解除でも経済制裁を

本日、アメリカ政府が、今月11日にも北朝鮮のテロ国家指定解除に踏み切るとのニュースが駆け巡りました。解除となりますと、北朝鮮は、国際機関からの融資を受けられることになります。もし、国際機関が、北朝鮮への融資を再開するとしますと、これは、国際…

日本国のG8財務相会議の提案

日本国政府は、バブル崩壊後の日本国の経験を、近日中に開かれるG7財務相中央銀行総裁会議(10月11日修正)で提案すると言います。不良債権の買い取り、資本増強のために公的資金の投入などが取り沙汰されていますが、その他に、日本国では、金融機関の救済…

朝銀救済は正しかったのか

未曾有の金融危機に対処すべく、各国政府とも、相次いで公的資金による金融機関の救済に乗り出しています。この救済劇は、日本国のバブル崩壊時を思い起こさせるのですが、公的資金をめぐる各国の議論を見るにつけ、当時の日本国政府の朝銀救済は正しかった…

日本国のドル買い介入は世界を救うか

本日、ついに日経平均株価が952円下落し、円高も一時1ドル100円を切ったと伝えられています。日本国は、輸出依存型経済ですので、海外市場の景気後退と円高の亢進による輸出不振への懸念が、株式市場での大幅下落につながったようです。 ところで、日本…

裁判員制度導入手順の誤り

裁判員制度の導入を来年に控えながらも、国民の中には、制度に対する不信感が根強くあるようです。その理由は、裁判員制度の手順を大きく間違えたからなのではないか、と思うのです。 そもそも、司法の”民主化”なるものへの疑問は別に論じるとしても、まずは…

三里塚闘争は民主主義の反則か

本日、成田闘争の反対運動の一環として、三里塚芝山連合空港反対同盟の農民所有地で、反対運動の集会が開かれ、1420人もの活動家が集まったと言います(長崎労働組合交流センター(準備)ブログhttp://blogs.yahoo.co.jp/struggleunioncenter/18168859.h…

憲法第9条:一国だけの不戦条約

日経新聞では、最近、東京裁判を検証するシリーズを掲載しており、その中で、日本国憲法の第9条は、1928年に調印された不戦条約がモデルであったという解説がありました。不戦条約の第一条では、国際紛争の解決手段としての戦争の放棄を宣言しています。…

中山発言に見る人権擁護法案の行く末

中山前国交相は、発言の内容が関係者の心を傷つけたとする非難を受け、職を辞されました。国民の多くは、政界での出来事と見なしがちですが、もし、人権擁護法案が可決されるとしますと、この問題は、遠いところのお話ではなくなります。 何故ならば、人権擁…

中山前国交相への批判の冷酷

中山前国境相が、政界から引退することを表明したことを受けて、ブログでは、中山氏を惜しむ声と罵倒する声とが入り乱れているようです。私は、中山氏の発言には、今後、改革を要する極めて重要な政治課題が含まれて故に、残念に思うのですが、批判する側は…

政治は対話と議論

麻生首相が所信表明演説において、民主党に対して質問を投げかけたことは、国会のルールに反するとする批判の声も聞かれます。しかしながら、政治の本質を考えますと、むしろ、対話方式の方が、議会のあり方としては望ましいと考えられるのです。 かつて、ヘ…