時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

朝銀救済は正しかったのか

 未曾有の金融危機に対処すべく、各国政府とも、相次いで公的資金による金融機関の救済に乗り出しています。この救済劇は、日本国のバブル崩壊時を思い起こさせるのですが、公的資金をめぐる各国の議論を見るにつけ、当時の日本国政府朝銀救済は正しかったのか、疑問に思うのです。

 バブルの崩壊とともに、長銀日債銀拓銀山一証券といった日本国の大手金融機関は救済の手を差し伸べられることなく、潰されることになりました。その一方で、朝鮮銀行朝鮮銀行組合)には、一兆4千億円もの公的資金が投入され、日本国政府によって、救済されることになったのです。この措置は、はたして日本国の経済、ならびに、国益にかなったのでしょうか。経済を考えましたら、日本国の大手金融機関を救済した方が、経済全体への影響を考えますと、はるかにプラスであったとは言えましょう。そうして、政治においては、朝銀の救済は、日本国の国益のみならず、著しく安全保障をも損ねたのではないでしょうか。朝銀が残存することによって、多額の資金が北朝鮮に送金され、その資金が、北朝鮮の核やミサイルの開発を支えることになったのですから。あの時に朝銀を潰していれば、今日の核問題も起きなかったかもしれません。つまり、日本国は、恩をあだで返されることになったのです。

 財政支出を伴う政策については、最終的には国民負担となりますので、負担者である国民の合意を要するものです。諸外国ではこの点も議論され、アメリカ議会で、金融救済法が最初に否決されたのも、有権者を納得させることができない、という理由があったからと言います。日本国の場合は、朝銀救済に対して世論の反対がありながら、政府は、この反対を押し切って、自国の安全保障を危険にさらしている外国の金融機関を救済しました。私には、この政策は、どう考えても売国政策であったように思えてならないのです。

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