時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

2007-01-01から1年間の記事一覧

酷い年ながらも見えた課題

今年一年を振り返りますと、参議院選挙を機に衆参のねじれ現象が起きるとともに、阿倍政権から福田政権への混乱に満ちた交代劇も発生しました。この政治混乱の余波は現在まで続いており、平成19年は酷い年であった、という評価を後の世では受けそうです。 …

”剣はペンより強し”が支配する国

パキスタンにおいて発生したブット元首相の暗殺事件は、民主化を望む世界中の人々に計り知れない衝撃を与えることになりました。それは、現代という時代においても、剣がペンよりも優る場合があることを、如実に証明したからです。”剣はペンより強し”の原則…

独立戦争の非暴力主義は防衛戦争には通用しない

インド独立に際して、独立運動の指導者であったガンジー氏が貫いた非暴力・不服従主義は、平和主義の理想として、今日でも高く評価されています。しかしながら、この非暴力主義は、植民地が宗主国から独立するに当たって、戦争ではなく両者の交渉によって解…

本当の怖さは北京オリンピック後にやってくる

本日中国北京の人民大会堂で開かれた日中首相会談では、環境や科学技術の分野における協力拡大が合意されたと言います。高度な技術力を唯一の競争力とする日本にとりまして、台頭する中国が、低コストに加えて技術力を持つことは(鬼に金棒!)、自国産業の…

沖縄県民の名誉のもう一つの守り方

高校の教科書における沖縄戦の集団自決の記述につきましては、9月29日に開催された沖縄県民大会での反発を受けて、軍の強制性があったかのような記述が復活すると言います。沖縄県民の感情を配慮してとのことですが、軍による強制性を殊更に強調すること…

教育に”徳育”が必要な理由

戦後の日本国の民主化、ならびに、自由化は、連合国によって、戦前の体制が全体主義的であったと認定されことから、殊更に、個人の自由と権利を強調するものとなりました。もちろん、個人の尊重は、言うまでもなく重要なことなのですが、その限界を抜きにし…

許認可制のリスク管理を

薬害肝炎訴訟については、議員立法を通して、肝炎患者の一律救済を実現する方向で決着しそうです。この救済方法は、違法性に基づく国家賠償というよりも(法律に厳密に従えば、政府に責任のある期間は限定される・・・)、政治的な患者救済策として理解する…

”ばらまき政策”は破滅への道

近年、政府は、遅ればせながらも積極的に財政再建に取り組んできましたが、福田政権となって、再び旧来の”ばらまき政策”が復活してしまったようです。来年度予算では、政府の累積赤字は、減額となるどころか、6兆円も増えてしまうと言うのです。 ”ばらまき…

いまだ中国との講和ならず?

1985年に中国の南京市に建設された”南京大虐殺記念館”が、12月13日に、残虐性をさらにアップさせて改装オープンされました。南京大虐殺については、充分な歴史的検証がなされておらず、被害総数も、中国政府の誇張された数字が独り歩きしている状況…

北朝鮮に対する債権を外交カードに

1999年5月、日本国の国際協力銀行(JBIC)は、KEDOの事業に対して1165億円の供与を行う協定を結びました。この供与は、米朝枠組合意の順守が大前提でしたが、その後の北朝鮮の悪質で不誠実な態度とKEDOの中止は、よく知られるとおりです。 ところで…

圧力団体は他の国民の負担を考えて

来年度予算の財務省原案を見てみますと、政府が選挙対策の観点から、様々な圧力団体の要求に屈した様子をうかがうことができます。圧力団体のロビー活動は、しばしば政治学の研究対象となったりもするのですが、財政危機にある中で、自己の利益ばかりを求め…

地方の医師不足はピンポイント政策で

財政が危機的な状況にある中で、社会保障費の圧縮が強く求められていますが、地方の医師不足が主たる理由となって、診療報酬に関しては、例外的に「本体」が0.38%の引き上げとなるようです。もしも、本当に地方の医師不足が問題であるならば、ピンポイ…

集団的自衛権の行使は同盟の基礎

昨日の海上配備型スタンダード・ミサイル(SM3)の迎撃実験成功を受けて、政界でも、集団的自衛権の行使に関する議論が再び活発になりそうです。集団的自衛権はあるけれれども使えない、という解釈は、同盟そのものを否定することになるのではないか、と思…

日本国の命運を担うミサイル防衛システム

本日、米ハワイ・カウアイ島で、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」によるミサイル迎撃実験に成功したとの報が伝えられました。実戦配備には、費用対効果の考慮と集団的自衛権に関する憲法上の解釈問題があるとされていますが、ミサイル防衛システムほ…

環境技術はビジネス化を

福田首相は、「アジア経済環境共同体構想」を打ち出し、日本国の環境技術をアジアの発展に生かす方針を示したと言います(本日日経朝刊)。この構想の具体的な姿は描かれていませんので、何とも言いようがないのですが、ここでは、日本国は、環境技術を無償…

自滅を薦める”総合取引所構想”

取引市場の競争力強化を目的として、日本国でも、証券市場と商品市場などを融合させた”総合取引所”の設立が検討されると言います。しかしながら、商品市場への投機資金の流入ほど、市場経済にとりましてマイナスとなるものはないと思うのです。 最近の急激な…

責任能力のない人に銃を持たせては危ない

昨晩、佐世保市で発生した銃乱射事件は、銃の保有が原則禁止とされている日本国においても、銃乱射事件が起き得ることを明白に示す事件となりました。そうして、この事件がもうひとつ明らかにしたことは、たとえ猟銃やスポーツ用の銃器であっても、保有資格…

バイオ燃料関税ゼロはWTO交渉を促進する?

昨日の新聞報道によりますと、財務省の審議会は、バイオ燃料の輸入関税をゼロにする方針を打ち出したそうです(日経12月13日付夕刊)。この答申では、対象となる製品は限定されているそうですが、この試みを、WTOの枠組みにおける日本国の義務的な農産物…

ちぐはぐな原油高対策と環境税構想

昨今の急激な原油高を受けて、政府は、今月11日に灯油代の補助を柱とした原油高対策の基本方針をまとめました。その一方で、税の上乗せにより灯油やガソリン価格を人為的に上げることによって、消費量=温暖化ガス排出量を減らそうとする環境税構想もあり…

大学での英語講義三割は無謀な案

教育再生会議により纏められた第三次報告では、大学の講義のうち三割を英語で実施することが目標として掲げられたそうです(本日日経新聞朝刊)。この案の背景には、大学教育の国際化の推進があるのでしょうが、現状を見る限りにおいては、いささか無謀なよ…

きわめて奇妙な外交ハンディキャップ論

本国の外交については、第二次世界大戦における行為と敗戦に鑑みて、未来永劫にわたって主権上のハンディを負うべきである、とする説があります(ハンディキャップ論)。憲法第9条や自衛隊の活動への制約もこの議論の延長線上で語られることもあるのですが…

国民の生きた証を捨てないで

今月7日に、公文書館推進議員懇談会のメンバーの方が、公文書管理についての緊急提言を行ったと言います(本日日経夕刊)。日本国は、公文書管理の制度作りが遅れており、日本国が歩んできた足跡を記録として後世に残す上で、重要な取り組みと言えましょう。…

埋蔵金を山分けしないで

40兆円から50兆円にも上るという特別会計の積立金が”埋蔵金”と称され、政界では、その使途をめぐる議論が持ち上がっているようです。苦しい財政事情にある中で、”埋蔵金”が存在していることは喜ばしいことなのですが、この貴重な資金が、単に、”ばらまき…

為すべきは行財政改革

独立行政法人の存在が、政府の財政赤字の根源の一つでであることは、幾度となく指摘されてきており、改革の必要性は、国民の意識にも深く浸透してきてます。いわば、為すべき政治課題として国民の共通認識となるに至っている、とも言えましょう。 ところが、…

日本国は色彩文化の伝統でセンス・アップを

最近のテレビ番組を見てみますと、何と多く、原色が無造作に使われていることでしょうか。赤、青、緑、黄色、などなど、きつい色彩が否が応でも目に飛び込んできます。派手派手しい色彩に疲れを覚え、すぐにテレビを消してしまうことになるのですが、何時か…

世銀への増資が北朝鮮を利したら

最近となって、世銀が日本国に対して増資を要請しているという新聞記事を多く目にするようになりました。この増資、実は、北朝鮮問題にも影響を与えると言うのです(本日付日経新聞夕刊)。 それは、アメリカが北朝鮮に対してテロ支援国家指定を解除した場合…

民主党の大型訪中団は公務の放棄

伝え聞くところによりますと、民主党は、小沢代表を含めた40名以上にも上る議員団を結成し、国会を休んで中国を訪問するとのことです。この行為、国会議員という公務の放棄に等しいのではないか、と思うのです。 何故かと言いますと、国会議員の公的な職務…

国民には国家を防衛する義務がある

最近、宮崎県の東国原知事が、青少年教育の方法論を中心に徴兵制擁護論を展開し、話題となりました。この発言については謝罪が表明されているようですが、はたと立ち止まって考えてみますと、国民の防衛義務について、これまで、まっとうな議論がなされてこ…

熊猫の中国に鈴をつけるのは

どのねずみさんも、猫に鈴を付ける仕事は嫌なものです。しかしながら、このお仕事をしませんと、仲間のねずみさんが猫に襲われたり、食べられてしまいます。このお話、何か、猫ならぬ”熊猫(パンダ)”の中国に対する、周りの国々の態度のようにも思えてしま…

無併合・無賠償の原則を忘れたロシア

新聞報道によりますと、プーチン政権誕生以来、ロシアではナショナリズムが高まっており、プーチン大統領も、ロシアによる北方領土領有は国際法において承認されていると主張しているようです(本日産経新聞朝刊)。この主張が正しければ、戦争の結果、他国…