時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

バイオ燃料関税ゼロはWTO交渉を促進する?

 昨日の新聞報道によりますと、財務省の審議会は、バイオ燃料の輸入関税をゼロにする方針を打ち出したそうです(日経12月13日付夕刊)。この答申では、対象となる製品は限定されているそうですが、この試みを、WTOの枠組みにおける日本国の義務的な農産物輸入に拡大応用するとしますと、停滞しているWTOのドーハ―・ラウンドの突破口となるかもしれません。

 現在、日本国は、特別に、お米の輸入に対して高率の関税を設定することを許容してもらうかわりに、一定量の外米を義務的に輸入しています。この輸入された外米は、政府備蓄米として保蔵されていますが、なかなか有効に活用できない状況にあります。もし、この外米の義務的輸入を、バイオ燃料の輸入に代ることができるとしますと、どうなるでしょうか。現地においてバイオ燃料として製品化されたものを、関税ゼロで輸入できるとすれば、エネルギー資源の乏しい日本国にとりましては、一石二鳥の政策となりましょう。

 もちろん、世界の食糧事情に十分配慮し(最貧国等で飢餓が発生しては問題!)、また、関税率の引き下げに耐えうる農業を築いてゆく努力を怠ってはなりませんが、穀物輸出国の主張をバイオ・エネルギー輸入拡大という形で解決できることは、WTO交渉に新たな展開をもたらすかもしれないと思うです。