時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

通商政策

日中韓FTAの恐怖―投資協定

昨日、野田首相は、中韓の首脳と日中韓FTAに向けて交渉を開始することで合意したと報じられています。それも、投資協定の締結を優先する考えを示したそうなのですが、この投資協定、内容次第では、悲惨な結末が待っていそうです。 仮に、投資協定の内容が、…

日中韓FTAの危険度

本日、野田首相は、日中韓FTAについて、交渉の開始に合意したとも、検討の推進を確認したとも報じられています。TPPには、反対論もあるのですが、この日中韓FTAの方が、はるかに危険度が高いのではないかと思うのです。 第1に、TPPとは逆に、中韓は、投資家…

TPP問題―政治家がすべき仕事は山積

昨日からホノルルにてAPECの首脳会議が開かれたことから、我が国でも、TPP問題は、国論を二分する政治課題として急浮上することになりました。この問題に際して、政治家のすべき仕事は山積していると思うのです。 TPPに参加するとしますと、農業のみならず、…

TPP―産業の空洞化は起きない

TPPについては、農業や医療分野を始めとして、反対論が根強いようです。しかしながら、産業の空洞化という側面においては、TPPは、日中韓FTAより、はるかに影響が少ないのではないかと思うのです。 TPPは、事実上の日米自由貿易協定とも言われていますが、両…

遅すぎた中国製450品目の関税上げ

これまで、我が国は、中国製品に対して、途上国向けに設けられていた特恵関税制度を適用してきました。中国の経済大国化に伴い、この優遇措置は撤廃され、今後、450品目で関税率を上げるそうですが、この措置、遅すぎたのではないかと思うのです。 中国は…

TPP参加問題―製造業・農業間の直接交渉の場を

TPPの参加については、参加を支持する産業界側と反対を表明した農業者側の対立が深まり、身動きだとれない状況に陥っているようです。また、TPPの経済効果についても、様々な試算があり、国民も判断に迷っているのが現状です。 来年に持ち越された最終決定を…

経済大国中国に特恵関税枠は不要

昨日の新聞記事に、財務省が、これまで中国に認めてきた特恵関税枠20%を10%に引き下げる、という記事が掲載されていました(7月26日付日経新聞朝刊)。そもそも、急激な経済成長により、既に経済大国となった中国には、特恵関税枠は必要ないのでは…

民主党の内需拡大は第二の鎖国?

民主党政権の経済政策の基本路線とは、内需拡大と生活重視とのことです。しかしながら、国民の多くは、この政策によって、日本国の経済が回復するとは信じていないのではないでしょうか。 内需拡大の具体的な内容とは、輸出志向をやめて国内産業や消費を増や…

食品輸入は中国の土壌調査から

毒入り餃子事件が未解決にもかかわらず、今度は、冷凍いんげんにも高濃度の農薬が検出されたと言います。食品会社の方々は、常々、中国における製品管理は徹底しており、契約農家の耕地であるから安全と強調しているのですが、それが事実であるのか心配です。…

仏製品不買運動vs.中国製品不買運動

中国では、パリで聖火リレーが妨害されたとして、インターネットでのフランス製品ボイコット運動が起きていると言います。おそらく、これもまた、中国政府による経済的なダメージをちらつかせた”恐喝”あるいは”脅迫”作戦の一つなのでしょう。こうした場合、…

中国政府系ファンドの上陸は無問題?

新聞報道によりますと、渡辺金融担当相は、中国政府系ファンドによる日本企業への投資を歓迎するとの談話を公表したと言います(本日付日経朝刊)。中国政府系ファンドの”安全性”を、日本国の政府が保証するような発言なのですが、本当に、大丈夫なのでしょ…

バイオ燃料関税ゼロはWTO交渉を促進する?

昨日の新聞報道によりますと、財務省の審議会は、バイオ燃料の輸入関税をゼロにする方針を打ち出したそうです(日経12月13日付夕刊)。この答申では、対象となる製品は限定されているそうですが、この試みを、WTOの枠組みにおける日本国の義務的な農産物…

経済政策をめぐる自民・民主の呉越同舟

経済・通商政策には、大きく分けて二つの考え方があります。その一つは、自由主義の系譜であって、市場経済と自由貿易主義を是とする立場です。もう一つの系譜は、その反対に、市場への政府介入を許容し、自由貿易体制下にあっても自国産業の保護政策を図ろ…

戦後の日本を救った自由貿易主義

開国以来、日本国は、人口増加圧力に苦しみ、これを解決するために、北米や南米諸国への海外移民政策を積極的に実施することになりました。日露戦争後にアメリカ政府が日系移民排斥に転じると、国内の人口問題は深刻さを増し、やがて、農村部の圧力を背景に…