時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日中韓FTAの恐怖―投資協定

 昨日、野田首相は、中韓の首脳と日中韓FTAに向けて交渉を開始することで合意したと報じられています。それも、投資協定の締結を優先する考えを示したそうなのですが、この投資協定、内容次第では、悲惨な結末が待っていそうです。

 仮に、投資協定の内容が、三国間の投資を完全に自由化し、金融市場を開放するものであるとしますと、まずは、巨額の資金を持つ中国の政府系ファンドの動きが懸念されます。資金力に優る中国系ファンドは、技術力をもつ日本企業の敵対的買収を試みる可能性があり、日本企業は、戦々恐々の状況に置かれるかもしれません。実際に、現状でも、日本企業の上位株主に中国系のファンドの名が挙がるようになってきており、投資協定が締結されますと、この傾向に拍車がかかります。内部から日本企業はコントロールされるかもしれず、中国への技術や拠点の移転が画策されるかもしれません。しかも、それが、軍事への転用可能な技術である場合には、経済のみならず、危機は政治分野にも及びます。

 野田首相は、協定の内容を考え抜いた上で、こうした約束をしているのでしょうか。遵法精神の低い中韓との協定は、自由化よりも、法整備の方を優先すべきですし、自国の安全保障を脅かしている国との協定の締結は極めてリスクが高いと思うのです。

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