時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

TPP―産業の空洞化は起きない

 TPPについては、農業や医療分野を始めとして、反対論が根強いようです。しかしながら、産業の空洞化という側面においては、TPPは、日中韓FTAより、はるかに影響が少ないのではないかと思うのです。

 TPPは、事実上の日米自由貿易協定とも言われていますが、両国間の賃金や技術の格差は少なく、知的所有権の保護も高いレベルで確保されています。このため、日本企業が、協定発効を機に、低賃金を理由に生産拠点を海外に移転させるという現象は起きる可能性は低く、技術流出の心配も深刻ではありません。また、この協定が発効した結果として、近年落ち込んでいた日米間の貿易量が拡大するとしますと、ドル需要の増加による円高是正の効果も期待できます。

 TPPについては、全面的に否定する意見も聞かれますが、貿易とは、基本的にはゼロ・サムではなく、相互利益が成立する分野ですので、マイナス思考に偏らず、TPPを活かす方向性を見出すことも大事なのではないかと思うのです。

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