時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

アイヌ民族政党の波紋

 現在、北海道では、約2万4千人ほどのアイヌの方々が居住しておられるそうです。全国では、推計で20万人ほどになるのですが、昨日、民族政党を結成するとのニュースが報じられました。結党理由は、アイヌ人の求める政策が遅々として実現しないため、とのことですが、様々な波紋を広げそうです。

 第1に、アイヌ人を定義することが、難しいという問題があります。和人との通婚が進んでいますので、ハーフやクウォーターなど、一定の基準を設けるのか、それとも、自己のアイデンティティーに任せるのか、線引きをめぐる議論が起きそうです。

 第2に、アイヌ人以外の人々は、この政党への加入資格はあるのでしょうか。もし、加入資格がないとしますと、国ならびに地方とも、政党の規模は、人口による制約を受けることになります。また、アイヌ人であっても、この政党には加入したくない人々もおられるかもしれません。反対に、アイヌ人以外にも加入資格があるとしますと、”アイヌ政党”とは言い難くなります。

 第3に、アイヌ人の方々の集住地区があるとしますと、将来的には、地方議会の第一党となることで、自治権の要求に結びついてゆく可能性はあるのでしょうか。

 第4に、中国、韓国、北朝鮮など、他の民族に出自をもつ帰化した人々が、同様の民族政党を結成する可能性も否定はできません。アイヌの方々は先住民ですが、後から移住して来た民族集団も、自らの政党を結成するかもしれないのです。

 現在、我が国には、政党法が存在していないため、政党そのものが曖昧な存在です。民族や宗教など、デリケートな問題を含めて政党の在り方を議論しませんと、我が国は、分裂の方向に向かってしまうのではないかと心配になるのです。

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