時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

経済政策をめぐる自民・民主の呉越同舟

 経済・通商政策には、大きく分けて二つの考え方があります。その一つは、自由主義の系譜であって、市場経済自由貿易主義を是とする立場です。もう一つの系譜は、その反対に、市場への政府介入を許容し、自由貿易体制下にあっても自国産業の保護政策を図ろうとする立場です。後者は、特に農業分野に顕著に見られます。

 アメリカやヨーロッパ諸国では、経済自由主義保守系の、介入主義や保護主義は、革新系の政策方針ということになっています。しかしながら、日本国の場合は、自民党民主党のどちらがこの経済自由主義に軸足を置いているのか、実のところ明確ではないのです。保守系と言われる自民党の中にも革新系とされる民主党の中にも、自由主義者が存在している一方で、保護主義者もまた、両党共におります。

 このことは、政策スタンスが曖昧なままで、二大政党化を推し進めることが難しくなることを示唆しています。そうして、主義主張の混在状態は、国民をして、政党の選択を窮せしめる、ということになりましょう。