時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

責任能力のない人に銃を持たせては危ない

 昨晩、佐世保市で発生した銃乱射事件は、銃の保有が原則禁止とされている日本国においても、銃乱射事件が起き得ることを明白に示す事件となりました。そうして、この事件がもうひとつ明らかにしたことは、たとえ猟銃やスポーツ用の銃器であっても、保有資格は厳格化しなくてはならない、ということです。

 アメリカのバージニア工科大学で発生した銃乱射事件でも問題になりましたように、犯人は、精神的に正常な状態ではなかったことが報告されています。今回の事件でも、犯人は、日頃から奇行が目立ち、近隣の住民の方々から警察に対して苦情と懸念が寄せられていたと言います。事件の発生には、警察がこの警告を無視してしまったことにも一因があるのですが、銃の販売に際しては、銃器保有者の精神状態こそ、最も厳密な資格として問わなければならない、と思うのです。何故ならば、正常な精神状態であれば、理性が働いて決してとらないような行動でも、精神に異常をきたしている場合には、判断力を失って犯罪行為を行ってしまう場合があるからです。刑法では、心神喪失の場合には刑を免れることができ、心神耗弱の場合にも減軽されることを考えますと、責任能力のない人に、殺傷力を持つ銃の保有を許すことほど恐ろしくことはありません。

 人々の尊い命と社会の安全を守るためには、銃保有に関する規定を見直し、精神的に正常ではない人が銃を手にすることを防がなくてはならない、と思うのです。