時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

地方の医師不足はピンポイント政策で

 財政が危機的な状況にある中で、社会保障費の圧縮が強く求められていますが、地方の医師不足が主たる理由となって、診療報酬に関しては、例外的に「本体」が0.38%の引き上げとなるようです。もしも、本当に地方の医師不足が問題であるならば、ピンポイント式の政策の方が効果的ではないか、と思うのです。

 もちろん、医師の方々は、昼夜を問わず、激務に耐えて患者の健康と生命を救うことに献身しておられるわけですから、その報酬が高くなることには納得できる理由があります。しかしながら、現代の医療制度は、国家の社会保障制度に組み込まれていますので、診療報酬のレベルについては、国庫の財政状況と相談しなくてはならないのです。この側面を考えますと、診療報酬を一律に引き上げるよりも、地方での開業や勤務を促進するようなピンポイントの政策の方が、少ない予算で医師不足を解決できるのではないか、と思うのです。例えば、医師免許取得後の数年を地方における医療活動に振り向ける制度とか、地方大学の医学部と地域とを結ぶネットワークの構築とか、地方医師への助成金のストレートな支給など、様々な方法が提案されています。また、産科医の不足には、助産婦にも制限付きで医療行為を認めるなどの方法も解決策となるかもしれません。

 歳入は無尽蔵にあるわけではなく、特に、莫大な財政赤字を抱える現状では、誰もがどこかで我慢しなければならない状況にあります。少しばかりの工夫を行えば、目的により即した効果的な政策が実施できるのではないか、と思うのです。