時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

圧力団体は他の国民の負担を考えて

 来年度予算の財務省原案を見てみますと、政府が選挙対策の観点から、様々な圧力団体の要求に屈した様子をうかがうことができます。圧力団体のロビー活動は、しばしば政治学の研究対象となったりもするのですが、財政危機にある中で、自己の利益ばかりを求める行為は、他の国民に負担を転嫁することなりましょう。

 確かに、人間は共通の利益のために結束し、集団をつくる傾向にあります。そうして、こうした利益で結び付いた集団は、一たび政治権力に近づきますと、自らが集票マシーンとなることと引き換えに、利益誘導を求めるようになります。こうして、公共事業のみならず、社会保障などの分野においても、政治と特定の集団との癒着が発生することになるのです。この関係が成立しますと、最も迷惑を被るのは、これらの集団に属していない一般の国民です。圧力団体の行動によって、歳費は必要以上に膨らみますし、一般的な国民の福利に資する分野への予算配分も減ってしまうからです。

 圧力を受けて選挙対策の”ばらまき政策”を行う政府にも大いに問題はありますが、圧力をかける側も、負担を負わされる他の国民のことを考えていただきたいと思うのです。財政の再建のための負担は、すべての国民が分かち合うようにしましょう。