時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

北朝鮮に対する債権を外交カードに

 1999年5月、日本国の国際協力銀行JBIC)は、KEDOの事業に対して1165億円の供与を行う協定を結びました。この供与は、米朝枠組合意の順守が大前提でしたが、その後の北朝鮮の悪質で不誠実な態度とKEDOの中止は、よく知られるとおりです。

 ところで、報道によりますと、日本国政府は、上記の貸し付けのうちの448億円分を北朝鮮の肩代わりをし、今後5年間にわたって毎年約90億円を予算に計上すると言います。拉致問題をそのままにして、実質的には経済支援を行うことになりますので、極めて遺憾な措置なのですが、もし、この件で、日本国にとって望ましい展開があるとしますと、それは、JBICではなく、日本国政府が、北朝鮮に対して直接の債権国となることです。448億円(最終的には1165億円?)が、北朝鮮の財政においてどれほどの重みを持つのかは、正確なデータがありませんので判断できませんが、仮に、日本国政府の債務返済の要請に対して、北朝鮮がこれを拒んだ場合、北朝鮮は、債務不履行(デフォルト)を宣言せざるを得なくなるかもしれないのです。

 今回の措置については、北朝鮮が踏み倒すのではないか、という指摘があります。しかしながら、日本国政府は、これを認めず、この債権を、拉致問題の解決のための圧力として、最大限使うべきではないか、と思うのです。