時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

いまだ中国との講和ならず?

 1985年に中国の南京市に建設された”南京大虐殺記念館”が、12月13日に、残虐性をさらにアップさせて改装オープンされました。南京大虐殺については、充分な歴史的検証がなされておらず、被害総数も、中国政府の誇張された数字が独り歩きしている状況にあります。歴史的な”遺跡”や”遺物”でないものを敢えて”記念館”に仕立てているのですから、中国政府の国内的な反日教育と国際的なプロパガンダの一環として理解すべきと言えましょう。

 ところで、講和条約の締結後において、旧敵国をターゲットにして国民の敵愾心を煽るような政策は許されるのでしょうか。一般的には、講和条約の締結は、最終的に戦争を終わらせる国家間の合意を意味し、以後、両国の敵対関係は消滅します。これは、戦争と復讐戦との永続的な連鎖を断ち切るためでもあります。これを日中関係にあてはめますと、日中両国は、1978年に日中平和友好条約を結び、敵対関係は既に解消したことになります。それにもかかららず、中国政府が、今となって、日本国に対する敵意や憎悪を顕わにするような政策をとるとしますと、これは、事実上、講和条約を破る行為となりましょう。

 今月末、福田首相は、中国を訪問するとのことですが、この機会を生かして、中国政府に対して、南京大虐殺記念館の見直しを強く要求していただきたいと思うのです。事実と異なる(偽装された?)内容の展示を行うことは、日本国民のみならず、事実を知ることができない中国国民にとりましても、不幸なことなのではないでしょうか。