時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

靖国神社にA級戦犯を絡めた中韓の非常識

 日本国民の多くは、中国や韓国が靖国神社参拝を批判する理由が、A級戦犯の合祀にあることに対して、然したる疑問を抱いていないかもしれません。しかしながら、そもそも、中韓が、靖国神社参拝にA級戦犯問題を絡めてきたことこそ、非常識だったのではないかと思うのです。

 戦争とは、相互の殺戮を伴いますので、しばしば近世のヨーロッパの講和条約においては、相互恩赦の条文を設けています(三十年戦争ウェストファリア条約など…)。一方、20世紀に至ると、第二次世界大戦では、国際法の発展を背景に、軍事裁判という戦後処理が人類史上初めて採用されました。しかしながら、国際法は国内法の刑法ほどには完備されておらず、軍事裁判の判決も、勝者による敗者の裁きといった側面が強いものとなったのです。それでは、サンフランシスコ講和条約は、この問題を、どのように扱ったのでしょうか。第11条には、日本国による、東京裁判の受託と刑の執行を定めつつも、刑の赦免や減刑についても併記しています。つまり、東京裁判を一般の国内裁判の判決と同様に厳格に扱ってはおらず、むしろ、一般の講和条約に見られる恩赦の精神に回帰しているとも言えます。このことは、サンフランシスコ講和条約の発効により、A級戦犯は、国際社会において過去のものとなったことを示しているのです。ところが、80年代に至り、中国と韓国は、A級戦犯の問題を蒸し返し、靖国神社を政治カードとして利用しようと画策します。中韓の罠に嵌った結果、日本国は、過去の戦争を糾弾され続けると共に、公人の靖国神社への公式参拝が困難となるのです。

 冷静になって考えてみますと、講和条約の締結は、戦争の最終的な終結を意味しますので、締約国は、軍事裁判の判決であれ、先の戦争を理由とした要求や請求を行う国際法上の権限は認められていません。第二次世界大戦では、新設の軍事裁判と通常の戦後処理が混在しましたが、日本国は、中韓東京裁判を利用した巧妙な策略から脱する時が来ているのではないかと思うのです。

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